ストレスチェックが50人未満の事業場でも義務化へ、医師の面接指導をオンラインで行うときのポイント

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投稿日:2026/10/30
更新日:2026/10/30
トレンド・お役立ち情報

従業員30人の会社で、ストレスチェックの結果「高ストレス」と判定された社員が、医師の面接を希望した。ところが社内に産業医はおらず、医師のいる場所までは車で1時間。業務の合間に時間を作ってもらうのも難しく、何より「面接に行くこと自体を同僚に知られたくない」という本人の気持ちにどう配慮すればよいのか――小規模な事業場では、ストレスチェックを実施した後の面接指導が、大きな悩みの種になりがちです。 2028年4月1日から、これまで努力義務だった労働者数50人未満の事業場でも、ストレスチェックの実施が義務になります。この記事では、厚生労働省が公表した小規模事業場向けのマニュアルをもとに制度の流れを整理し、高ストレス者に対する医師の面接指導をオンラインで行う場合の要件と、プライバシーを守るための実務上のポイントを解説します。

50人未満の事業場のストレスチェック義務化とは

50人未満の事業場のストレスチェック義務化とは、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、これまで「当分の間、努力義務」とされていた労働者数50人未満の事業場にも、ストレスチェックの実施を義務づけるものです。施行日は政令で2028年(令和10年)4月1日と定められました。

ストレスチェックとは、労働者が質問票に回答し、自分のストレスの状態を知ることで、メンタルヘルス不調を未然に防ぐための検査です。2015年12月の制度開始以来、労働者数50人以上の事業場では年1回の実施が義務とされてきましたが、50人未満の事業場は対象外でした。厚生労働省のマニュアルでは、制度の目的はメンタルヘルス不調の未然防止であり、不調者を見つけ出すことではないと説明されています。

マニュアルでは、メンタルヘルス不調で病気休業した場合、その期間は平均で約3か月に及び、復職後に再び病気休業になる割合も約半数にのぼると紹介されています。一人の欠員が業務に与える影響が大きい小規模事業場にとって、不調を未然に防ぐことは経営上のリスク対策でもあります。

小規模事業場向けマニュアルで示された実施の流れ

厚生労働省は2026年2月に「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表しました。従来のマニュアルが50人以上の事業場を前提としていたため、産業医の選任義務がなく、人員も限られる小規模事業場向けに、実施体制や手順を整理したものです。主な流れは次のとおりです。

  • 関係労働者の意見を聴いたうえで、ストレスチェック制度の社内ルールを決める
  • ストレスチェックの実施を外部機関に委託し、医師の面接指導の依頼先もあらかじめ決めておく
  • 労働者がストレスチェックを受検し、結果は実施者から本人に直接通知される
  • 高ストレスと判定され、面接指導が必要とされた労働者から申出があれば、遅滞なく医師の面接指導を実施する
  • 面接指導の後、遅くとも1か月以内に医師から就業上の措置について意見を聴き、必要な措置を講じる
  • 必要に応じて集団分析を行い、職場環境の改善につなげる

プライバシー保護のために外部委託が推奨されている

小規模事業場では、労働者同士や経営者との距離が近く、誰が高ストレスと判定されたかが周囲に伝わりやすいという特徴があります。そのため、マニュアルや各地の労働局の資料では、労働者のプライバシー保護の観点から、ストレスチェックの実施は原則として外部機関に委託することが推奨されています。個人の結果は本人の同意なく事業者に提供されないことも、制度の大前提です。

50人未満の事業場は地域産業保健センターを無料で利用できる

地域産業保健センター(地産保)とは、独立行政法人労働者健康安全機構が運営する支援機関で、おおむね労働基準監督署の単位ごとに全国350か所に設置されています。労働者数50人未満の事業場は、地産保に登録されている産業医による医師の面接指導を、無料で受けることができます。ただし、地産保はストレスチェック自体は実施していないため、ストレスチェックの実施は外部機関などに別途依頼する必要があります。

集団分析のルールも明確化

あわせて、労働安全衛生規則の改正により、集団分析は特定の個人を識別できない方法で行うことが明記され、2027年4月1日に施行されます。小規模事業場では部署の人数が少なく、分析の単位が小さいと個人が推測されやすくなるため、外部機関と相談しながら慎重に進めることが求められます。

医師の面接指導はオンラインでもできる

医師の面接指導は、一定の要件を満たせば、ビデオ通話などの情報通信機器を使ってオンラインで行うことができます。厚生労働省の通達「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について」(2015年9月、2020年11月最終改正)で、その考え方と留意事項が示されています。

通達では、面接指導は、医師が労働者とのやりとりや、その様子(表情、しぐさ、話し方、声色など)から心身の状況を把握し、必要な指導や就業上の措置を判断するものであるため、労働者の様子を把握し、円滑にやりとりを行える方法で行う必要があるとしています。そのうえで、面接指導を実施する医師が必要と認める場合には、直接対面で行う必要があるとされています。つまり、オンラインで行うかどうかの最終的な判断は、医師に委ねられています。

小規模事業場マニュアルでも、面接指導は情報通信機器を用いる場合も含め、労働者の様子を把握し円滑にやりとりできる方法で行う必要があるとしたうえで、面接指導の費用は事業者が負担すべきもので、オンラインで行う場合の通信料などにも留意するよう求めています。なお、面接指導は保険診療として扱うことはできません。

オンライン面接指導に求められる4つの要件

オンライン面接指導に求められる要件は、医師への情報提供、情報通信機器の条件、実施方法の決定と周知、緊急時の対応体制の4つです。通達で示されている留意事項を整理します。

医師への情報提供

事業者は、面接指導を行う医師に対し、事業場の事業概要や業務内容、作業環境に関する情報と、対象となる労働者の業務内容や労働時間などの勤務状況に関する情報を提供しなければなりません。また、面接指導を行う医師は、その事業場の産業医である、過去1年以上その事業場の労働者の健康管理を担当している、過去1年以内に事業場を巡視したことがある、過去1年以内にその労働者に指導をしたことがある、のいずれかに当てはまることが望ましいとされています。

情報通信機器の3つの条件

面接指導に使う情報通信機器は、次の全ての要件を満たす必要があります。

  • 医師と労働者が互いに表情、顔色、声、しぐさなどを確認でき、映像と音声の送受信が常に安定して円滑であること
  • 外部への情報漏洩や外部からの不正アクセスを防ぐ情報セキュリティが確保されていること
  • 労働者が面接指導を受ける際の機器の操作が、複雑・難解でなく、容易に利用できること

映像と音声の両方が求められているため、電話やメール、チャットだけでのやりとりは、この要件を満たしません。

実施方法の決定とプライバシーへの配慮

通達では、オンライン面接指導の実施方法について、衛生委員会などで調査審議を行ったうえで、事前に労働者に周知していることが求められています。衛生委員会の設置義務がない50人未満の事業場については、小規模事業場マニュアルで、ストレスチェック制度の社内ルールを決める際に、労働安全衛生規則第23条の2に基づいて関係労働者の意見を聴く機会を設けることが示されています。オンライン面接指導の進め方も、こうした場で話し合い、社内ルールに盛り込んでおくとよいでしょう。また、面接指導の内容が第三者に知られないような環境を整えるなど、労働者のプライバシーに配慮することも要件とされています。

緊急時の対応体制

オンライン面接指導の中で、医師が緊急に対応すべき徴候を把握した場合に備え、労働者のいる場所の近くの医師などと連携したり、事業場の産業保健スタッフが対応したりする緊急時の対応体制を整備しておく必要があります。小規模事業場では産業保健スタッフがいないことも多いため、誰がどの医療機関に連絡するのかを、あらかじめ決めておくことが大切です。

小規模事業場でオンライン面接指導を行う実務のポイント

小規模事業場でオンライン面接指導を行う際のポイントは、面接を受ける場所、日時、ツールの3つを、労働者が安心して受けられる形に整えることです。

面接を受ける場所を確保する

オンラインであっても、事務所の自席から面接を受けるのでは、会話の内容が周囲に聞こえてしまいます。会議室など扉を閉められる個室を用意する、在宅勤務の日に自宅から受けられるようにする、といった方法が考えられます。会議室の予約表に「面接指導」と書くと、それだけで周囲に伝わってしまうため、予約の名目にも配慮が必要です。マニュアルでも、面接指導を実施する場所はプライバシーに配慮して設定するよう求めています。

日時の調整と職場の理解

マニュアルでは、面接指導は就業時間内に設定することが望ましいとしつつ、対象者が心理的な負担なく受けられる配慮が必要としています。オンラインであれば移動時間がかからないため、業務への影響を抑えながら就業時間内に設定しやすくなります。一方で、就業時間内に面接を受けるには、上司の理解も欠かせません。理由を詳しく説明しなくても時間を確保できるよう、運用ルールを決めておきましょう。

労働者が迷わず使えるツールを選ぶ

面接指導を受ける労働者は、強いストレスを抱えていることが前提です。アカウントの作成やアプリのインストールが必要だったり、接続がうまくいかなかったりすると、それだけで負担になり、面接を受けること自体をためらう原因にもなりかねません。招待されたURLを開くだけで参加できるか、映像と音声が安定しているか、通信が暗号化されているかといった点を確認しておきましょう。面接指導の依頼先である医師や外部機関、地産保によっては、利用できるツールや実施方法が決まっている場合もあるため、オンラインで実施できるかどうかも含めて事前に確認しておくことが大切です。

オンライン面接指導に使えるWeb会議システム

国産Web会議システムの「LiveOn Meet」は、LiveOnを契約していない相手にも、招待用のURLを記載したメールを送って会議に参加してもらうことができます。パソコンからはアプリをインストールせずにブラウザで参加でき、スマートフォンからは無料アプリでURLから入室できます。通信データはAES(Rijndael)で暗号化され、低帯域の環境でも安定した通信ができるよう設計されています。クラウド版に加えて、閉域網などの自社環境にサーバーを構築できるオンプレミス版も用意されています。

どのツールを使う場合でも、面接指導の内容は機微な健康情報にあたるため、録画は原則として行わない、招待URLを本人と医師以外に共有しないといった運用ルールを決めておくことが重要です。Web会議全般のセキュリティの考え方については、Web会議のセキュリティ対策を解説した記事も参考にしてください。

よくある質問

50人未満の会社のストレスチェックはいつから義務になるの?

2028年4月1日から義務になります。2025年5月に公布された改正労働安全衛生法で、公布後3年以内に政令で定める日に施行するとされ、その施行日が政令で令和10年4月1日と定められました。施行日までの間も、50人未満の事業場でのストレスチェックの実施は努力義務とされています。

産業医がいない会社は、面接指導をどこに頼めばいいの?

労働者数50人未満の事業場は、最寄りの地域産業保健センター(地産保)に依頼すれば、登録産業医による面接指導を無料で受けられます。ストレスチェックの委託先の外部機関が、面接指導もサービスとして提供している場合もあり、その場合の費用は契約によって決まります。ただし、大企業の営業所などで、本社の産業医の協力を得られる場合は、地産保を利用できないことがあります。

面接指導は電話でもいいの?

通達では、医師と労働者が互いに表情、顔色、声、しぐさなどを確認でき、映像と音声の送受信が安定していることが要件とされているため、映像のない電話だけでの面接指導は要件を満たしません。オンラインで行う場合は、ビデオ通話ができる機器を使います。また、医師が必要と認める場合は、直接対面で行う必要があります。

オンライン面接指導の通信料は誰が払うの?

面接指導は法律で事業者に実施が義務づけられているため、その費用は事業者が負担すべきものとされています。小規模事業場マニュアルでも、情報通信機器を用いて行う場合の通信料などに留意するよう示されています。在宅勤務中の社員が自宅から受ける場合の通信料の扱いも、あらかじめ決めておくとよいでしょう。

面接指導を受けたことは会社に知られるの?

面接指導は労働者からの申出によって実施するため、申出をしたことや面接指導の結果、医師の意見は事業者に伝わります。一方、ストレスチェックの個人の結果は、本人の同意なく事業者に提供されることはありません。また、面接指導の申出を理由とした不利益な取扱いは法律で禁止されています。マニュアルでは、こうした点を労働者にあらかじめ伝えておくことが重要だとされています。

まとめ

2028年4月1日から、労働者数50人未満の事業場でもストレスチェックの実施が義務になります。小規模事業場では、外部委託によるプライバシーの確保と、地域産業保健センターなどを活用した医師の面接指導の体制づくりが準備の中心になります。医師の面接指導は、映像と音声が安定していること、情報セキュリティが確保されていること、操作が容易であることなどの要件を満たせばオンラインでも行えるため、産業医が近くにいない事業場や、移動の負担を減らしたい場合の有力な選択肢になります。

相手がURLを開くだけで参加でき、通信が暗号化されたLiveOn Meetのような国産Web会議システムを活用すれば、面接を受ける労働者の負担とプライバシーに配慮したオンライン面接指導の環境を整えられます。運用に合わせた構成について、導入のご相談はお問い合わせ・資料請求ページから承っています。

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