太陽光発電所や資材置き場の銅線盗難対策とは?金属盗対策法の施行後も見直したい防犯カメラの運用

Facebook Twitter LINE
投稿日:2026/10/30
更新日:2026/10/30
クラウドカメラ

週明けに郊外の太陽光発電所を点検に行くと、パワーコンディショナにつながるケーブルが根元から切断され、持ち去られていた。発電は止まり、売電収入も途絶える。防犯カメラは設置していたものの、録画していたレコーダーごと壊されていて、犯行の様子は何も残っていなかった――銅の価格高騰を背景に、こうした金属ケーブルの盗難が全国で相次いできました。 2025年6月に金属盗対策法が公布され、2026年6月からは金属くずの買受業者に本人確認などが義務づけられました。2025年の金属盗の認知件数は前年から減少に転じたものの、依然として年間1万5,000件を超えています。この記事では、警察庁などの資料をもとに金属盗の現状と新しい法律のポイントを整理し、発電所や資材置き場などの管理者が取り組みたい防犯対策と、防犯カメラの映像を確実に残すための運用を解説します。

金属盗とは

金属盗とは、銅線や銅板、溝蓋(グレーチング)、マンホールのふたなど、金属類を狙った窃盗のことです。盗まれた金属は金属くずとして買受業者に持ち込まれ、換金されるケースが多いとされています。警察庁が統計をとり始めた2020年以降、件数が急増し、治安上の大きな課題となってきました。

背景にあるのは、金属スクラップ価格の高騰です。参議院の調査資料によると、銅スクラップの1kgあたりの平均価格は、2020年まで600円前後で推移していましたが、2021年から上昇し、2023年には約1,131円になりました。カーボンニュートラルに向けて、再生可能エネルギーや電気自動車に欠かせない銅の需要が世界的に高まっていることが、価格を押し上げています。

金属盗の被害の現状

金属盗の被害の現状は、2024年まで急増が続いた後、2025年に減少へ転じたものの、依然として高い水準にあります。警察庁や国会の資料から、主なデータを整理します。

  • 金属盗の認知件数・被害額は、2020年の5,478件・約25億円から、2024年には2万701件・約140億円にまで増加した
  • 2024年の被害額約140億円は、窃盗犯全体の被害額の約2割を占める
  • 2023年の金属盗1万6,276件のうち、5,361件(32.9%)が太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗だった
  • 2024年の被害を品目別に見ると55.5%が金属ケーブル、材質別に見ると54.1%が銅だった
  • 2025年の金属盗の認知件数は1万5,712件で、前年から4,989件(24.1%)減少した

警察庁の「令和7年の犯罪情勢」では、2025年の減少について、太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗の被害が減少したことが大きく影響したと考えられるとしたうえで、金属盗対策法の確実な運用などにより、抑止と検挙をより一層推進する必要があるとしています。件数が減ったとはいえ、統計開始時の約3倍の水準であることに変わりはありません。

また、同じ資料では、空き家を狙った窃盗で、エアコンの室外機や金属類が被害品に含まれるものが大きく増えていることも示されています。銅などの金属価格の高騰により、金属くずとして売却するために盗まれていると考えられています。狙われるのは太陽光発電所だけではなく、建設現場の資材置き場や、人の目が届きにくい施設全般に広がっているといえます。

発電停止による損失も大きい

太陽光発電所でケーブルが盗まれると、ケーブルそのものの損害に加え、復旧までの間は発電が止まり、売電収入が失われます。参議院の調査資料では、太陽光発電協会などの資料をもとに、発電停止による売電損失は、特別高圧設備の場合で平均4,220万円、最大で1億円以上とされています。設備の規模が小さい発電所でも、復旧工事の手配や保険の手続きを含め、経営への影響は小さくありません。

金属盗対策法とは

金属盗対策法とは、2025年6月20日に公布された「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」の略称です。盗品の換金を難しくすること、犯行用具を規制すること、盗難防止情報を周知して防犯対策を進めることの三本柱で構成されています。

2025年9月施行:ケーブルカッターなどの隠匿携帯の禁止

2025年9月1日からは、一定の大きさや機構を持つケーブルカッターやボルトクリッパー(指定金属切断工具)を、業務その他正当な理由なく隠して携帯することが禁止されました。例えば、長さ45cm以上またはラチェット機構や電動・油圧の装置を備えたケーブルカッター、長さ75cm以上または電動・油圧の装置を備えたボルトクリッパーが対象です。参議院の調査資料によると、金属ケーブル窃盗で使われた犯行用具の84%がケーブルカッターやボルトクリッパーでした。

2026年6月施行:特定金属くず買受業の届出と本人確認

2026年6月1日からは、銅くずなどの特定金属くずを買い受ける事業者に、営業所ごとの公安委員会への届出、買受け時の相手方の本人確認、取引記録の作成・保存、盗品の疑いがある場合の警察官への申告などが義務づけられました。各地の警察の案内では、施行時点ですでに営業していた事業者は、2026年8月31日までに届け出る必要があるとされています。また、古物営業法施行規則の改正により、2025年10月1日からは、電線、グレーチング、エアコンの室外機などについて、取引金額にかかわらず本人確認などの対象とされています。

これらの規制は、盗んだ金属を売りにくくすることで犯行の動機を断つためのものです。一方で、施設の管理者側の防犯対策が不要になるわけではありません。各地の警察も、引き続き施設管理者に対策を呼びかけています。

施設管理者が取り組みたい金属盗の防犯対策

施設管理者が取り組みたい金属盗の防犯対策は、侵入させない、盗みにくくする、見られていると思わせる、異常に早く気づく、の4つの観点で組み合わせることです。静岡県警察などが太陽光発電施設の管理者向けに示している対策をもとに整理します。

  • 柵やフェンス、門扉を設置し、敷地内への侵入を難しくする
  • ケーブルを地中に埋設する、配線をコンクリートで固めるなど、露出させない
  • ケーブルを取引価格の低いアルミケーブルなどに変更する
  • 防犯カメラやセンサーライトを設置する
  • 「警戒中」などの看板を掲示する
  • 定期的な見回りやメンテナンスを実施する
  • 機械警備を導入する

建設現場や工事業者に対しては、使っていない銅線ケーブルなどを屋外に置いたままにせず、鍵のかかる場所に保管することも呼びかけられています。一つの対策だけで完全に防ぐことは難しいため、施設の立地や規模に合わせて複数を組み合わせることが大切です。

防犯カメラが「役に立たなかった」となりがちな理由

防犯カメラが役に立たなかったとなりがちな理由は、カメラを設置しても、映像を残す仕組みと、映像を確認する運用が伴っていないことです。人の少ない郊外の施設では、次のような事態が起こりがちです。

レコーダーごと壊される・持ち去られる

現地に録画用のレコーダーを置く方式では、犯人にレコーダーを壊されたり、持ち去られたりすると、肝心の映像が失われてしまいます。カメラの電源ケーブルや通信線が切断された場合も、その時点で録画が止まります。犯行の直前までの映像を現地の外に残しておけるかどうかが、証拠を確保できるかの分かれ目になります。

被害に気づくのが遅れ、録画が上書きされる

無人の施設では、被害に気づくのが数日後や、次の定期点検のときになることも珍しくありません。レコーダーの容量が小さく、古い映像から上書きされる設定になっていると、被害に気づいたときには該当する時間帯の映像が残っていないこともあります。

複数の拠点を確認しきれない

複数の発電所や資材置き場を管理している場合、映像を確認するために現地へ足を運ばなければならないと、日常的に確認するのは困難です。カメラの故障や画角のずれに気づかず、いざというときに映っていなかったという事態も起こり得ます。

映像を確実に残すための防犯カメラ運用のポイント

映像を確実に残すためのポイントは、録画データを現地の外に保存すること、離れた場所から定期的に確認できるようにすること、そして事件が起きたときにすぐに映像を取り出せるようにしておくことです。

  • 録画データを現地のレコーダーだけでなく、クラウドなど施設の外に保存する
  • 保存期間は、被害に気づくまでの日数を見込んで、余裕をもって設定する
  • カメラは車両の出入口、フェンスの周辺、ケーブルの集まる場所など、侵入経路と犯行場所の両方を映す位置に設置する
  • 夜間でも人物や車両が判別できるよう、照明やセンサーライトとあわせて設置する
  • 本社や管理事務所から、複数拠点の映像を定期的に確認し、カメラの故障や画角のずれを早めに見つける
  • 被害が起きたときに、該当する時間帯の映像を切り出して警察や保険会社に提出する手順を決めておく

防犯カメラの映像を証拠として提出する際の保存や改ざん防止の考え方は、防犯カメラ映像は証拠になるのかを解説した記事でも紹介しています。

複数拠点の映像をクラウドに残すLiveOn RecX

クラウド録画システム「LiveOn RecX」は、レコーダーを使わずに、ネットワークカメラの映像をクラウド上のストレージに保存するシステムです。ONVIF規格に準拠したネットワークカメラに対応しているため、すでに設置しているカメラを活かせる場合もあります。録画した映像は、専用アプリを使わずに、パソコン・スマートフォン・タブレットのブラウザから確認でき、複数のカメラや複数の現場の映像を一覧で表示できます。録画映像の一部を切り取って保存したり、ダウンロードしたりすることもできるため、被害が起きたときに必要な場面を取り出して共有する作業もしやすくなります。ビューアー用のアカウント数に制限はなく、発電所のオーナーや保守会社など、複数の関係者で映像を確認する体制も作れます。

クラウド録画を利用するには、現地にインターネットに接続できる通信環境が必要です。また、侵入をその場で検知して通報するには、センサーや機械警備との組み合わせが有効です。施設の立地や通信環境に合わせた構成を、導入前に検討しておきましょう。クラウド録画システムを比較する際の観点は、クラウド録画システムの選び方を解説した記事も参考にしてください。

よくある質問

金属盗対策法で、発電所の管理者に新しい義務はできたの?

金属盗対策法で新たに届出や本人確認などが義務づけられたのは、主に特定金属くずを買い受ける事業者です。発電所や資材置き場の管理者に、防犯設備の設置が義務づけられたわけではありません。ただし、法律の三本柱の一つに盗難防止情報の周知が掲げられており、各地の警察が施設管理者に防犯対策を呼びかけています。

金属盗は減っているなら、もう対策しなくても大丈夫?

警察庁の統計では、2025年の金属盗の認知件数は前年比24.1%減の1万5,712件でしたが、統計をとり始めた2020年の5,478件と比べると、約3倍の水準です。警察庁も、引き続き抑止と検挙を推進する必要があるとしています。空き家の室外機など、被害が増えている品目もあるため、警戒を緩めずに対策を続けることが大切です。

防犯カメラを付けておけば盗難は防げるの?

防犯カメラには、犯行をためらわせる効果と、被害が起きたときに状況を記録する効果がありますが、カメラだけで盗難を完全に防ぐことは難しいのが実情です。フェンスやケーブルの埋設といった物理的な対策、センサーライトや機械警備、定期的な見回りと組み合わせることが推奨されています。

録画データはどのくらいの期間保存しておけばいいの?

法律で一律に決められた期間はありませんが、無人の施設では被害に気づくまでに時間がかかることがあるため、定期点検の間隔よりも長く保存しておくことをおすすめします。保存期間を長くするほど必要な容量や費用も増えるため、点検の頻度や施設の重要度に応じて設定しましょう。

盗難に気づいたら、まず何をすればいいの?

まず110番通報し、現場の状況をできるだけそのままにして警察の到着を待ちます。防犯カメラの映像は、上書きされないうちに該当する時間帯のデータを保存しておきましょう。あわせて、保険会社や保守会社への連絡、発電が止まっている場合は復旧の手配を進めます。

まとめ

金属盗は2025年に減少へ転じたものの、依然として年間1万5,000件を超える水準にあります。金属盗対策法では、2025年9月から犯行用具の隠匿携帯が禁止され、2026年6月からは金属くずの買受業者に届出や本人確認が義務づけられましたが、施設を守るための防犯対策は、引き続き管理者自身が進める必要があります。フェンスやケーブルの対策と組み合わせながら、防犯カメラの映像を現地の外に確実に残し、離れた場所から確認できる運用を整えておくことが重要です。

レコーダーを置かずに映像をクラウドへ保存できるLiveOn RecXのようなクラウド録画システムを活用すれば、複数の発電所や資材置き場の映像をまとめて管理し、万一のときにも映像を確実に残せる体制づくりにつながります。施設の環境に合わせた構成について、導入のご相談はお問い合わせ・資料請求ページから承っています。

Facebook Twitter LINE

著者情報

ジャパンメディアシステム株式会社

ジャパンメディアシステム株式会社は、ビジュアルコミュニケーションシステム「LiveOn」を提供し、Web会議・遠隔作業支援・遠隔相談などの領域で、企業や自治体・官公庁のコミュニケーションを支援しています。

コーポレートサイト

Web会議システム LiveOn(ライブオン)は、クラウドアワードなど多数の賞を受賞。高音質・高画質でストレスのないWeb会議を実現をします。今ならWeb会議を無料トライアル実施中!お気軽にお問い合わせください。

LiveOn RecXに関する導入事例

LiveOn RecXのその他の事例はこちら

LiveOnシリーズ一覧

  • Web・ビデオ会議システム Live On Meet

    オンプレミス版3年連続シェアNo.1のWeb会議システム 中央省庁・自治体、金融機関を中心に豊富な導入実績があります。
    高セキュリティ・高品質が特長。カスタマイズにも柔軟に対応します。

  • 遠隔作業支援 LiveOn Wearable

    LiveOnとスマートグラス(ウェアラブル端末)を組み合わせ、現場の映像を送信。現場側は端末の電源を入れるだけ。管理者がリモートで現場作業者を支援・指導できます。

  • ウェアラブルカメラ/カメラ付きインカム Live On Nano

    世界最小・最軽量※のウェアラブルカメラ。リアルタイムで映像を遠隔地と共有し映像共有×通話で迅速な対応が可能。さらに作業状況・音声は自動で録画され、後から見返す事ができます。
    ※2026年1月現在、Android OS搭載、LTEモジュール搭載のウェアラブルカメラにおいて(当社調べ)

  • チャットシステム Live On Chat

    簡単に、安全に、コミュニケーションを活性化。オンプレミス環境へ構築可能です。
    監査ログやセキュリティ設定など多機能で、日本市場に最適な高品質のビジネスチャットです。

  • クラウドカメラ Live On RecX

    IPカメラ・ウェアラブルカメラ・スマートフォンなどの様々な映像を、専用レコーダー不要で手軽に一元管理できます。リアルタイム監視から編集・保存まで対応する録画サービスです。

  • 遠隔窓口相談 LiveOn Call

    LiveOnの技術と品質を、自治体や金融機関の窓口業務におけるオンライン相談システムに。操作が分かりやすく、スムーズに利用できます。高セキュリティなオンプレミス版にも対応しています。

Web会議・ビデオ会議のLiveOnの詳細



Web会議システム LiveOn(ライブオン)は、クラウドアワードなど多数の賞を受賞。高音質・高画質でストレスのないWeb会議を実現をします。今ならWeb会議を無料トライアル実施中!お気軽にお問い合わせください。

すべての機能を無料でお使いいただけます。

無料トライアルのお申込はこちら

ご相談やお見積りなど、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ・資料請求はこちら

PAGE TOP