ランサムウェアで社内システムが止まったら連絡はどうする?サイバーBCPに入れたい代替連絡手段

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投稿日:2026/10/30
更新日:2026/10/30
製品活用ガイド

月曜の朝、出社するとパソコンの画面に見慣れない脅迫文が表示されている。社内のファイルサーバーは開けず、メールも業務チャットもつながらない。情報システム担当に知らせようにも、社員の連絡先一覧はそのファイルサーバーの中にある――ランサムウェアの被害では、システムが止まるだけでなく、「誰にどうやって連絡するか」という初動そのものが難しくなることがあります。 警察庁の統計では、2025年のランサムウェアの被害報告件数は226件と高い水準が続く一方、被害に遭った組織のうち、業務継続計画(BCP)を策定していたのは約18%にとどまっています。この記事では、公的機関の資料をもとに、サイバー攻撃を想定したBCPに盛り込みたい「代替の連絡手段」の考え方と、平時から準備しておきたいポイントを解説します。

サイバー攻撃を想定したBCPとは

サイバー攻撃を想定したBCPとは、ランサムウェアなどのサイバー攻撃で情報システムが使えなくなった場合に、重要な業務をどのように継続・復旧するかをあらかじめ定めておく計画のことです。地震や水害を想定した従来のBCPと目的は同じですが、想定する被害の形が大きく異なります。

警察庁が2026年3月に公表した「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」では、ランサムウェアによるデータの暗号化は地震などの物理的災害とは被害の状況が異なり、調査・復旧作業や広報のあり方も異なる対応が求められるため、サイバー攻撃を想定したBCPを事前に準備しておく必要があると指摘しています。同じ資料では、ランサムウェア被害に遭った企業・団体へのアンケートで、BCPを策定済みだった組織の割合は約18%だったことも示されています。

ランサムウェア被害の現状

ランサムウェア被害の現状は、件数が高い水準で推移するとともに、復旧までの期間と費用が大きくなる傾向にあります。警察庁の同じ資料から、主なポイントを整理します。

  • 2025年のランサムウェアの被害報告件数は226件で、依然として高水準で推移している
  • 被害企業を規模別に見ると、前年と同様に中小企業が約6割を占めている
  • 復旧に総額1,000万円以上を要した組織の割合は全体の5割を超えている
  • 1か月未満で復旧できた組織の割合は全体の5割強にとどまり、被害が長期化する傾向にある
  • 被害組織へのアンケートでは、侵入経路はVPN機器が6割以上を占めている

2025年には、大手飲料メーカーや大手通販企業がランサムウェア攻撃を受け、製品の受注・出荷が止まるなど、長期にわたって企業活動に影響が出た事例も相次ぎました。情報処理推進機構(IPA)が2026年1月に公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、組織向けの1位は「ランサム攻撃による被害」で、11年連続での選出となっています。

ランサムウェア被害で連絡手段が失われる理由

ランサムウェア被害で連絡手段が失われるのは、社内のメールやチャット、連絡先の情報が、攻撃を受けたシステムと同じ基盤の上で動いていることが多いためです。具体的には、次のような状況が起こり得ます。

社内のメールやチャットが使えなくなる

社内にサーバーを置いて運用しているメールやチャットは、攻撃者にネットワーク内部へ侵入されると、サーバー自体が暗号化されたり、被害の拡大を防ぐためにネットワークごと遮断したりする必要が生じます。警察庁の資料でも、攻撃者は管理者権限の奪取やセキュリティの無効化を試みながらネットワーク内部を探索し、重要データやバックアップを物色すると説明されています。社員が普段使っている連絡手段が、そのまま使えなくなる可能性があるのです。

普段の連絡手段が「信用できない」状態になる

システムが動いていても、安心して使えるとは限りません。攻撃者が管理者権限やアカウント情報を奪っている場合、社内のメールやチャットのやり取りを見られている、あるいはなりすましたメッセージを送られるおそれがあります。対応方針や警察・専門家とのやり取りを、侵害されたかもしれない環境で行うのは危険です。

連絡先の一覧そのものにアクセスできない

社員の緊急連絡先や取引先の窓口、保守ベンダーの連絡先を、ファイルサーバーや社内システムの中だけで管理していると、被害が起きた瞬間にそれらを参照できなくなります。「連絡手段はあっても、連絡先が分からない」という状況も、初動を遅らせる大きな原因になります。

公的機関が推奨する「帯域外」の連絡手段

帯域外(アウトオブバンド)の連絡手段とは、普段の業務で使っているネットワークやシステムとは切り離された経路で、関係者が連絡を取り合える手段のことです。IPAが2026年9月に公表した「ランサムウェア被害から学ぶ教訓集~経営者のためのランサムウェア対策ハンドブック~」では、米国国立標準技術研究所(NIST)の資料を翻訳・編集した対策の一つとして、インシデント対応・復旧計画に、ランサムウェア事案によって通常の業務連絡手段が妨害された場合に備えた帯域外通信の戦略を含めるべきだとしています。

同じ資料では、法執行機関、法務顧問、インシデント対応の支援先を含む、ランサムウェア攻撃時の社内外の連絡先一覧を常に最新の状態に保つことも挙げられています。また、被害組織へのヒアリングをまとめたコラムでは、バックアップまで侵害されてシステムをすぐに復旧できなかった組織が、短期間で使い始められるクラウドサービスのメールやチャットを社内外とのコミュニケーションに活用した例が多く、そのまま本番運用に移行した組織も複数あったと紹介されています。

代替連絡手段を選ぶときの5つのポイント

代替連絡手段を選ぶときのポイントは、本番環境からの独立性、認証の分離、すぐに使える状態の維持、記録の残しやすさ、社外の関係者との連携の5つです。

本番環境から独立していること

最も重要なのは、普段の業務システムと同じネットワークやサーバーに依存していないことです。社内のサーバーで動くメールやチャットを、同じ社内ネットワークの中に「予備」として用意しても、同時に被害を受けるおそれがあります。インターネット上のクラウドサービスを使う、あるいは自社で構築する場合は、本番環境とは別のネットワークやサーバー上に置くといった分離が欠かせません。

認証の仕組みを分けておくこと

代替手段のログインが、社内のディレクトリサービス(Active Directoryなど)と連携していると、そのアカウント情報が奪われた時点で代替手段にも不正にログインされるおそれがあります。インシデント対応用の連絡手段は、本番環境とは別のIDとパスワードで利用できるようにしておくと安心です。

平時から「すぐ使える」状態にしておくこと

被害が起きてから慌ててアカウントを作り、使い方を説明していては、初動に間に合いません。対策本部のメンバーや各部署の責任者があらかじめ登録され、スマートフォンからでも参加できる状態にしておくことが大切です。会社のパソコンが使えなくなる場合を想定し、業務用のスマートフォンやタブレットから使えるかどうかも確認しておきましょう。

やり取りの記録を残せること

インシデント対応では、いつ誰が何を判断し、どのような指示を出したかを、後から振り返る必要があります。警察への相談や取引先への説明、再発防止策の検討にも、時系列の記録が役立ちます。チャットのように発言の履歴が残る手段は、口頭や電話だけのやり取りに比べて記録を残しやすい点がメリットです。

社外の関係者ともつながれること

ランサムウェア事案の対応には、セキュリティベンダー、保守ベンダー、法律の専門家、警察など、社外の関係者が多く関わります。相手側にアカウントの登録やアプリのインストールを求めずに、招待用のURLから会議に参加してもらえる手段があると、対策会議をすぐに開けます。

平時から準備しておきたいこと

代替連絡手段は、用意しただけでは被害時に機能しません。サイバー攻撃を想定したBCPの一部として、次のような準備を平時から進めておきましょう。

  • 対策本部のメンバー、役割分担、意思決定の手順を決めておく
  • 社員・取引先・ベンダー・警察・専門家の連絡先一覧を、社内システムとは別に保管し、紙でも持っておく
  • 代替連絡手段のアカウントを事前に発行し、ログイン方法を関係者に周知しておく
  • 代替手段に切り替える判断基準と、最初に送る連絡の文面を決めておく
  • 年に1回程度、社内システムが使えない想定で、代替手段を使った連絡訓練を行う
  • オフラインのバックアップや、侵害範囲の特定に必要なログの取得もあわせて見直す

警察庁の資料でも、オフラインバックアップなどの情報資産の管理、ログの取得、ランサムウェア攻撃を受けた際の対応に関する訓練、警察との連携といった管理体制の構築が、被害の抑制に有効だとされています。災害時を想定した社内コミュニケーション体制の考え方は、BCP対策における社内コミュニケーション体制の作り方を解説した記事も参考にしてください。

インシデント時の連絡体制を支えるLiveOnのツール

国産のビジネスチャット「LiveOn Chat」は、閉域網を含む任意の環境に構築できるオンプレミス型のチャットです。管理者がキーワードや投稿者、期間などでメッセージを検索できる監査ログ機能を備え、利用できるデバイスやIPアドレスの制限、部署・ユーザー単位での機能制限にも対応しています。スマートフォンやPCのアプリから利用でき、オンプレミス環境でもプッシュ通知を使えます。インシデント対応用の連絡手段として使う場合は、普段の業務システムとは別のサーバー・ネットワーク上に構築し、認証も本番環境と分けておくことが前提になります。社外の関係者を交えた対策会議には、クラウド版を利用できる国産Web会議システムの「LiveOn Meet」が選択肢になります。招待用のURLを記載したメールを送れば、LiveOnを契約していない相手にも参加してもらえ、パソコンからはアプリをインストールせずにブラウザで参加できます。

どのツールを選ぶ場合でも、代替連絡手段の構成は、自社のネットワーク構成やセキュリティポリシーとあわせて検討する必要があります。導入前に、本番環境との分離の方法や、被害時の切り替え手順まで含めて、提供事業者に相談しておくことをおすすめします。

よくある質問

ランサムウェアのBCPと地震のBCPは何が違うの?

地震などの災害では、建物や設備が物理的に被害を受けるのに対し、ランサムウェアでは建物は無事でも、データやシステムが使えなくなります。警察庁の資料では、調査・復旧作業や広報のあり方も物理的災害とは異なる対応が求められるため、サイバー攻撃を想定したBCPを別に準備しておく必要があるとされています。社内システムが使えない前提で、連絡手段や業務の代替方法を考える点が大きな違いです。

代替の連絡手段は個人のLINEでもいいの?

緊急時に個人のSNSやメッセージアプリでやり取りすることもあるかもしれませんが、会社として管理できないため、やり取りの記録の保全や退職者の管理、情報漏えいの防止が難しくなります。インシデントの対応では機密性の高い情報を扱うことも多いため、会社として管理できる手段を、平時から代替連絡手段として決めておくことが望まれます。

社内サーバーのチャットは代替手段にならないの?

普段の業務システムと同じネットワークやサーバー、認証基盤の上で動いている場合は、同時に被害を受けたり、侵害された環境でやり取りすることになったりするおそれがあるため、代替手段としては不十分です。自社で構築する場合は、本番環境とは別のネットワーク・サーバー上に置き、認証も分けておく必要があります。

被害に気づいたら最初に何をすればいいの?

警察庁の資料では、まず感染した端末などをネットワークから隔離して被害の拡大を防ぐことが望ましいとしています。慌てて電源を切ると、ログなどの侵入の痕跡が失われ、その後の調査が難しくなる可能性があるため注意が必要です。そのうえで、あらかじめ決めておいた代替手段で対策本部のメンバーに連絡し、早期に警察や関係機関へ通報します。同じ資料では、BCPなどで連絡先を整理して記載しておくと、被害発生時に円滑な連携が可能になるとされています。

中小企業でもサイバー攻撃のBCPは必要なの?

必要です。警察庁の統計では、ランサムウェアの被害企業のうち中小企業が約6割を占めています。大がかりな計画書を作るのが難しい場合でも、代替の連絡手段と連絡先一覧、最初に誰が何をするかを決めておくだけで、初動の混乱を大きく減らせます。

まとめ

ランサムウェアの被害では、社内のシステムだけでなく、メールやチャットといった普段の連絡手段まで使えなくなったり、信用できなくなったりすることがあります。警察庁の統計では、被害組織のうちBCPを策定していたのは約18%にとどまっており、IPAの資料では、通常の業務連絡手段が妨害された場合に備えた帯域外通信の戦略を計画に含めるべきだとしています。本番環境から独立し、認証を分け、平時から使える状態にしておくことが、代替連絡手段を機能させる条件です。

本番環境とは別の環境に構築できるLiveOn Chatや、クラウド版を利用できるLiveOn Meetのような国産ツールを組み合わせれば、社内外の関係者と確実に連絡を取り合える体制づくりにつながります。サイバー攻撃を想定した連絡体制の構成について、導入のご相談はお問い合わせ・資料請求ページから承っています。

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