高年齢労働者の労災防止が努力義務に、一人作業の安全をどう見直すか

Facebook Twitter LINE
投稿日:2026/10/07
更新日:2026/10/07
トレンド・お役立ち情報

現場を長年支えてきたベテラン社員が、点検の途中で転倒してしまった。ひとりで作業していたため、発見が遅れ、事務所に連絡が入ったのはしばらく経ってからだった――人手不足のなかで一人作業が増えている現場では、こうした事故は決して他人事ではありません。 2026年4月から、高年齢労働者の特性に配慮した労働災害防止の措置が、事業者の努力義務になりました。この記事では、法改正と国の指針のポイントを整理したうえで、高年齢労働者が一人で作業する場面の安全をどう確保するか、映像と通話を使って離れた場所から見守る仕組みを中心に紹介します。

高年齢労働者の労災防止の努力義務化とは?2026年4月に何が変わったか

高年齢労働者の労災防止の努力義務化とは、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、事業者が「高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善、作業の管理その他の必要な措置」を講ずるよう努めることが、法律上の努力義務として定められたことを指します。この規定は労働安全衛生法第62条の2として、2026年4月1日から施行されています。

あわせて厚生労働省は、2026年2月10日に「高年齢者の労働災害防止のための指針」を公示し、同年4月1日から適用しています。これまでも、2020年に策定された「エイジフレンドリーガイドライン」によって高年齢労働者への配慮は呼びかけられてきましたが、今回の改正で法律に根拠を持つ指針として位置づけ直された点が大きな違いです。

指針では、事業者が取り組むべき事項として、①安全衛生管理体制の確立等(経営トップによる方針表明や体制整備、リスクアセスメントの実施など)、②職場環境の改善(身体機能の低下を補う設備・装置の導入と、高年齢者の特性を考慮した作業管理)、③高年齢者の健康や体力の状況の把握、④健康や体力の状況に応じた対応、⑤安全衛生教育の5つが示されています。努力義務であるため罰則はありませんが、事故が起きた際に「必要な配慮をしていたか」が問われる場面では、こうした取り組みの有無が重要な意味を持ちます。

なぜ今、高年齢労働者の労災対策が求められているのか

高年齢労働者の労災対策が求められている理由は、働く高年齢者が増え続けるなかで、労働災害の被災者に占める高年齢者の割合が年々高まっているためです。

厚生労働省の統計では、2024年に休業4日以上の死傷者数に占める60歳以上の労働者の割合が、初めて3割に達しました。2025年の休業4日以上の死傷者数は全国で13万5,333人と、なお高い水準が続いています。高年齢者雇用安定法により、2025年4月からは希望者全員の65歳までの雇用確保が完全に義務化され、70歳までの就業機会の確保も努力義務となっていることから、現場で働く高年齢者は今後も増えていくと考えられます。

高年齢労働者は、豊富な経験と技能を持つ一方で、年齢とともにバランス感覚や筋力、視力、聴力などの身体機能が低下しやすくなります。つまずきや踏み外しといった、若い頃なら持ちこたえられた小さなミスが、転倒や墜落・転落といった大きな事故につながりやすくなるのです。さらに、同じ事故でもけがの回復に時間がかかり、休業が長引きやすいことも指摘されています。

一人作業が高年齢労働者にとって特にリスクが高い理由

一人作業とは、周囲に同僚や管理者がいない状態で、作業者がひとりで業務を行うことです。設備の巡回点検、夜間の警備、倉庫での作業、訪問サービス、農地や山林での作業など、多くの現場で日常的に行われています。人手不足が続くなかで、「これまで2人で回っていた作業を1人で担当する」というケースも珍しくありません。

事故が起きても気づかれにくい

一人作業の最大のリスクは、転倒や体調の急変が起きたときに、周囲がすぐに気づけないことです。意識を失ったり、けがで動けなくなったりすると、自分で助けを呼ぶこともできません。発見が遅れるほど、本来なら軽く済んだはずのけがや体調不良が重症化するおそれがあります。高年齢労働者は、暑さや寒さによる体調の変化を自覚しにくい場合があることも、リスクを高める要因です。

「ベテランだから大丈夫」という思い込み

経験豊富なベテランほど、ひとりで任されることが多くなりがちです。本人も「慣れた作業だから」と、手すりを使わない、脚立を急いで降りるといった省略をしてしまうことがあります。経験が長いほど、身体機能の変化と作業習慣のずれに気づきにくいという点は、管理する側も意識しておく必要があります。

危険の兆候が記録に残らない

ひとりで作業していると、「ヒヤリとしたが事故にはならなかった」という場面が、誰にも共有されないまま埋もれてしまいます。指針が求めるリスクアセスメントを進めるうえでも、現場で実際に何が起きているのかが見えないことは大きな障害になります。

高年齢労働者の一人作業を安全にするための5つの視点

高年齢労働者の一人作業を安全にするには、事故そのものを減らす対策と、万一の際にすぐ対応できる体制づくりの両方が必要です。指針の考え方を一人作業の場面に当てはめると、次の5つの視点で見直すことができます。

  • 作業そのものを見直す:段差の解消、手すりや照明の設置、重量物の小分けなど、身体機能の低下を補う環境を整える
  • 一人作業を減らす・選ぶ:特に危険度の高い作業は複数人で行う、高年齢労働者を担当から外すといった配置の工夫を検討する
  • 定時連絡と異常時の連絡手段を決める:何分おきに連絡するか、連絡がなかったら誰がどう確認するかを決めておく
  • 現場の状況を離れた場所から把握できるようにする:作業中の映像や音声を共有し、管理者が様子を確認したり声をかけたりできる体制をつくる
  • ヒヤリハットを記録・共有する:一人作業で起きた危険な場面を記録し、リスクアセスメントや教育に活かす

このうち、作業環境の改善や配置の見直しは、多くの企業がすでに取り組み始めています。一方で、「ひとりで作業している最中の様子を、どう把握するか」は、従来の定時連絡や電話だけでは限界がある部分です。ここで役立つのが、映像と通話を使った遠隔からの見守りです。

ウェアラブルカメラで一人作業を見守る仕組み

ウェアラブルカメラによる一人作業の見守りとは、作業者が身につけた小型カメラの映像と音声を、事務所などにいる管理者と共有し、離れた場所から作業の様子を確認したり、必要に応じて声をかけたりする方法です。「LiveOn Nano」は重さ約80gの超小型ウェアラブルカメラで、LTE通信によってリアルタイムで現地の映像を遠隔地と共有しながら通話ができます。クラウド録画と同時にカメラ本体にも映像を自動保存するダブル録画機能を備えており、駆動時間は約5時間です。身につけても負担になりにくい軽さは、体力面に配慮が必要な高年齢労働者が使う機器を選ぶうえでも重要なポイントです。

危険な作業の前後に「つないで確認する」

一日中ずっと映像を見続ける必要はありません。高所での作業や重量物の運搬、普段と違う設備の点検など、リスクの高い作業に入る前に管理者とつなぎ、作業の様子を見ながら声をかけるだけでも、「誰かが見ている」という安心感と緊張感が生まれます。作業者の目線の映像があれば、管理者は足元や周囲の状況まで具体的に確認できます。

様子がおかしいときに、すぐ状況を把握する

定時連絡に応答がない、声の様子がいつもと違うといったときに、映像があれば現場で何が起きているかをすぐに確認できます。駆けつけるべきか、救急に連絡すべきかの判断を早めることは、一人作業での事故対応において特に重要です。

録画をヒヤリハットの共有と教育に活かす

作業の録画が残っていれば、「この場所は足元が見えにくい」「この手順は無理な姿勢になっている」といった危険の兆候を、後から関係者で確認できます。実際の映像をもとに話し合うことで、指針が求めるリスクアセスメントや職場環境の改善を、現場の実態に沿って進めやすくなります。

指針でも、リスクアセスメントでは災害事例やヒヤリハット事例から危険源を洗い出すこととされています。また、高年齢者への安全衛生教育では、作業内容とそのリスクを理解しやすくするために、写真や図、映像などの文字以外の情報も活用することが求められており、集合研修が難しい事業場では視聴覚教材を活用した教育も有効とされています。現場で記録した作業の映像は、こうした教育の教材としても活かすことができます。

ベテランを「遠隔の指導役」として活かすという選択肢

高年齢労働者の労災対策は、危険な作業から遠ざけることだけではありません。体力面の負担が大きい現場作業を若手が担い、豊富な経験を持つベテランが事務所から映像を見て助言する、という役割分担も、指針が示す「作業の管理」の考え方に沿った選択肢のひとつです。

遠隔作業支援システムの「LiveOn Wearable」を使えば、現場の作業者が身につけたカメラの映像や音声を確認しながら、離れた場所からリアルタイムに指示を出せます。映像を切り取った画像に書き込みをして指示を送ることもできるため、ベテランが現場に行かなくても、具体的な指導が可能です。高年齢労働者の身体的な負担を減らしながら、その技能と経験を若手に引き継ぐことにもつながります。

導入時に押さえておきたい注意点

ウェアラブルカメラによる見守りを導入する際の注意点は、機器の性能よりも、使う人の納得感と運用ルールにあります。特に高年齢労働者のなかには、カメラを付けることを「監視されている」「信用されていない」と受け止める人もいるため、次のような点を整理しておくことが大切です。

  • 目的を丁寧に説明する:評価や監視のためではなく、万一のときに早く助けるための仕組みであることを伝え、本人の理解を得る
  • 使う場面を決める:常時つなぐのか、危険な作業のときだけつなぐのかを決め、必要以上に負担をかけない
  • 操作をシンプルにする:機器の操作に慣れていない人でも使えるよう、電源の入れ方や通話の始め方を短い手順書にまとめる
  • 映像の取り扱いを決める:保存期間や閲覧できる人を限定し、休憩中など撮影しない場面もあらかじめ定めておく
  • 通信環境とバッテリーを確認する:電波が届きにくい場所や長時間の作業では、本体録画の活用や予備バッテリー、定時連絡との併用を検討する

見守りの仕組みは、作業環境の改善や配置の見直しを置き換えるものではなく、それらを補う「最後の備え」です。ハード面・ソフト面の対策と組み合わせることで、高年齢労働者が安心して働き続けられる現場づくりにつながります。

よくある質問

高年齢労働者って何歳からのことを指すんですか

厚生労働省の労働災害統計や対策の資料では、主に60歳以上の労働者が対象として扱われることが多くなっています。ただし、身体機能の変化には個人差が大きいため、年齢だけで一律に判断せず、一人ひとりの健康や体力の状況を把握して対応することが大切です。

努力義務なら、対応しなくても罰則はないですよね

努力義務のため、取り組まないこと自体に罰則はありません。しかし、事故が起きた場合には、事業者として必要な安全への配慮をしていたかが問われることがあります。また、働く高年齢者が増えるなかで、安心して働ける職場であることは、人材の確保や定着にも直結します。

一人作業を完全になくすことはできませんか

危険度の高い作業は複数人で行うのが理想ですが、人手不足のなかで、すべての一人作業をなくすのは現実的ではない現場も多いでしょう。作業ごとにリスクの大きさを評価し、複数人で行う作業と、見守りの仕組みを整えたうえで一人で行う作業とを分けて考えるのが現実的な進め方です。

高齢の社員がカメラを嫌がった場合はどうすればいいですか

まずは、監視ではなく安全のための仕組みであることを丁寧に説明し、どんな場面で使うのか、映像を誰がどう扱うのかを具体的に示すことが大切です。最初は危険度の高い作業に限って使い、実際に助かった場面や役立った場面を共有していくと、理解が得られやすくなります。

まず何から始めればいいですか

最初の一歩としては、社内でどの作業を誰がひとりで行っているかを洗い出し、そのなかで転倒や墜落・転落、体調急変のリスクが高い作業を特定することから始めるのがおすすめです。そのうえで、作業環境の改善、配置の見直し、連絡手段や見守りの仕組みのうち、どれで対応するかを作業ごとに決めていきましょう。

まとめ

2026年4月から、高年齢労働者の特性に配慮した労働災害防止の措置が事業者の努力義務となり、国の指針に沿った取り組みが求められるようになりました。なかでも一人作業は、事故が起きても気づかれにくく、高年齢労働者にとってリスクの高い働き方です。作業環境の改善や配置の見直しとあわせて、LiveOn Nanoのような軽量なウェアラブルカメラで現場の映像と通話を共有できるようにしておけば、危険な作業の前後の声かけや異常時の状況把握、ヒヤリハットの共有まで、離れた場所から支えられるようになります。まずは自社の一人作業を洗い出すところから始めてみてはいかがでしょうか。現場に合った見守りの方法や導入のご相談は、お問い合わせ・資料請求ページから承っています。

Facebook Twitter LINE

著者情報

ジャパンメディアシステム株式会社

ジャパンメディアシステム株式会社は、ビジュアルコミュニケーションシステム「LiveOn」を提供し、Web会議・遠隔作業支援・遠隔相談などの領域で、企業や自治体・官公庁のコミュニケーションを支援しています。

コーポレートサイト

Web会議システム LiveOn(ライブオン)は、クラウドアワードなど多数の賞を受賞。高音質・高画質でストレスのないWeb会議を実現をします。今ならWeb会議を無料トライアル実施中!お気軽にお問い合わせください。

LiveOnシリーズの導入事例

その他の事例はこちら

LiveOnシリーズ一覧

  • Web・ビデオ会議システム Live On Meet

    オンプレミス版3年連続シェアNo.1のWeb会議システム 中央省庁・自治体、金融機関を中心に豊富な導入実績があります。
    高セキュリティ・高品質が特長。カスタマイズにも柔軟に対応します。

  • 遠隔作業支援 LiveOn Wearable

    LiveOnとスマートグラス(ウェアラブル端末)を組み合わせ、現場の映像を送信。現場側は端末の電源を入れるだけ。管理者がリモートで現場作業者を支援・指導できます。

  • ウェアラブルカメラ/カメラ付きインカム Live On Nano

    世界最小・最軽量※のウェアラブルカメラ。リアルタイムで映像を遠隔地と共有し映像共有×通話で迅速な対応が可能。さらに作業状況・音声は自動で録画され、後から見返す事ができます。
    ※2026年1月現在、Android OS搭載、LTEモジュール搭載のウェアラブルカメラにおいて(当社調べ)

  • チャットシステム Live On Chat

    簡単に、安全に、コミュニケーションを活性化。オンプレミス環境へ構築可能です。
    監査ログやセキュリティ設定など多機能で、日本市場に最適な高品質のビジネスチャットです。

  • クラウドカメラ Live On RecX

    IPカメラ・ウェアラブルカメラ・スマートフォンなどの様々な映像を、専用レコーダー不要で手軽に一元管理できます。リアルタイム監視から編集・保存まで対応する録画サービスです。

  • 遠隔窓口相談 LiveOn Call

    LiveOnの技術と品質を、自治体や金融機関の窓口業務におけるオンライン相談システムに。操作が分かりやすく、スムーズに利用できます。高セキュリティなオンプレミス版にも対応しています。

Web会議・ビデオ会議のLiveOnの詳細



Web会議システム LiveOn(ライブオン)は、クラウドアワードなど多数の賞を受賞。高音質・高画質でストレスのないWeb会議を実現をします。今ならWeb会議を無料トライアル実施中!お気軽にお問い合わせください。

すべての機能を14日間無料でお使いいただけます。

14日間無料トライアルのお申込はこちら

ご相談やお見積りなど、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ・資料請求はこちら

PAGE TOP