こども性暴力防止法が12月施行、防犯カメラの設置と録画運用はどう考えるか

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投稿日:2026/10/30
更新日:2026/10/30
トレンド・お役立ち情報

学校や保育所、学習塾、スポーツクラブなど、こどもと接する事業者にとって、2026年12月25日は大きな節目になります。いわゆる「日本版DBS」として知られるこども性暴力防止法が施行され、従事者の性犯罪歴の確認に加えて、日頃から性暴力を防ぐための環境づくりが求められるようになるためです。 こども家庭庁の施行ガイドラインでは、施設の死角を減らす手段のひとつとして防犯カメラ等の活用が「有効」と示されています。一方で、こどものプライバシーや現場の萎縮への配慮、映像の厳格な管理も同時に求められています。この記事では、ガイドラインの記載をもとに、防犯カメラの設置場所の考え方と、録画映像を適切に運用するためのルールづくりのポイントを整理します。

こども性暴力防止法とは

こども性暴力防止法とは、学校や保育所、学習塾などでこどもに接する仕事に就く人による性暴力を防ぐため、事業者に性犯罪歴の確認と安全確保のための措置を求める法律です。正式名称は「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」(令和6年法律第69号)で、2026年12月25日に施行されます。

この法律では、対象となる事業者が2つの区分に分かれています。学校、認定こども園、認可保育所や児童養護施設などの児童福祉施設、児童相談所といった「学校設置者等」は、法律上当然に義務の対象となります。一方、学習塾やスポーツクラブ、放課後児童クラブ、認可外保育事業といった「民間教育保育等事業者」は、国の認定を受けた場合に、学校設置者等と同様の措置を講じることになります。認定を受けるかどうかは事業者の任意です。

「日本版DBS」という呼び名から、性犯罪歴の確認(犯罪事実確認)ばかりが注目されがちですが、事業者に求められるのはそれだけではありません。性犯罪歴の有無にかかわらず、すべての従事者を対象に、性暴力を未然に防ぎ、疑いが生じたときに適切に対応できる体制を整えることも求められています。防犯カメラの活用は、この「体制づくり」の文脈で語られている取り組みです。

日頃から講ずべき4つの措置と防犯カメラの位置づけ

こども家庭庁の施行ガイドラインでは、性暴力の未然防止のために日頃から講ずべき措置として、次の4つが示されています。

  • 服務規律等の整備・周知:性暴力や「不適切な行為」の範囲を明確にし、従事者・こども・保護者に周知する
  • 施設・事業所環境の整備:密室や死角を減らし、複数の目が行き届く環境をつくる
  • 対象業務従事者に対する研修:こどもの権利や性暴力の要因、疑いが生じた際の対応を学ぶ
  • 児童等や保護者への教育・啓発:こどもや保護者が被害に気づき、相談しやすくなるよう働きかける

防犯カメラは、このうち2つ目の「施設・事業所環境の整備」に含まれる手段です。ガイドラインでは、物理的な環境の見直しや掲示といったハード面と、巡回の強化や複数の職員による見守りといったソフト面の両方から環境を整える必要があるとしたうえで、防犯カメラ等の活用、巡回の実施・強化、職員間で死角になりやすい場所を話し合うこと、こどもから死角になりやすい場所について意見を募ることなどが有効であると示しています。

ここでいう「防犯カメラ等」には、常設型・可搬型の防犯カメラに加え、人感センサーや、送迎車内も撮影できるドライブレコーダーなども含まれています。また、ガイドラインは防犯カメラを一律に設置すべきものとはしておらず、巡回や鍵の管理など、さまざまな防犯対策のうちの一つと位置づけています。こどもの発達段階や事業の性質に応じて、設置・運用のあり方を検討することが望ましいとされています。

防犯カメラが有効とされる4つの理由

防犯カメラが性暴力の防止に有効とされる理由は、抑止・早期検知・事実確認・被害申告の4点に整理されています。ガイドラインでは、具体的に次のような効果が挙げられています。

  • 性暴力の発生を抑止する力になる
  • 異常を早期に検知しやすくなる
  • 疑いが生じたときの事実確認で、加害の事実がある場合にもない場合にも証明となり、こどもと従事者の双方をトラブルから守る
  • 性暴力が起きた際の証拠になり得るため、被害の申告を促す効果が考えられる

このうち見落とされがちなのが、3つ目の「従事者を守る」という側面です。防犯カメラというと、職員を監視するための設備と受け止められることもあります。しかし、根拠のない疑いをかけられたときに、映像が「何もなかったこと」を示す客観的な記録になる場合もあります。導入にあたって職員の理解を得るうえでも、こどもと職員の双方を守るための仕組みであることを丁寧に説明することが大切です。

また、ガイドラインでは、疑いが生じた際の調査について、防犯カメラの映像や写真・録音といった客観的な証拠を適切に保全することの重要性も示されています。客観的な証拠があれば、こどもから何度も話を聞く必要が減り、聴き取りに伴うこどもの負担を軽くできるという意義もあります。

設置場所はどう考えるか

防犯カメラの設置場所は、目が行き届きにくく死角になりやすい場所と、こどもと一対一にならざるを得ない場所を優先して検討するのが基本です。ガイドラインでは、具体例として面談室などが挙げられています。

死角になりやすい場所は、施設の構造や運営の仕方によって異なります。階段の踊り場や廊下の突き当たり、倉庫や準備室、送迎時の駐車場、更衣室周辺の通路などは、多くの施設で候補になり得ます。図面の上だけで判断せず、実際にこどもが過ごす時間帯に職員が施設内を歩いてみて、周囲から見えにくい場所を洗い出すことが有効です。ガイドラインが示すように、こども自身に「ここは見えにくい」と感じる場所を尋ねてみるのもよいでしょう。

一方で、こどもの居室、トイレ、更衣室、浴室といった閉鎖的な空間は、プライバシー保護の観点から内部を撮影することが難しい場所です。ガイドラインでは、こうした場所についてはカメラを入口に設置し、室内が映らないようにしたうえで入退室だけを記録する方法が示されています。誰がいつ出入りしたかが分かれば、疑いが生じた場合の検証に役立てることができます。

児童養護施設のように、こどもが日常生活を送る場では、特にプライバシーへの配慮が求められます。設置にあたっては、こどもの意向を聴き取り、同意を得るといった手続を丁寧に行う必要があります。

面談室など一対一になる場面での録画

面談室など、こどもと一対一になる場面での録画・録音は、業務に支障がなく、こどもや保護者の同意が得られた場合に限って行うのが原則です。ガイドラインでは、相談の内容によってはカメラがあることでこどもが話しにくくなる心理的な影響があることを踏まえ、録画等の要否については、相談に対応するカウンセラー等の判断も尊重するよう求めています。

防犯カメラを使わない場合も、面談の最後にその場で話した内容を双方で確認するなど、トラブルを防ぐための対応が必要とされています。カメラを設置するかどうかにかかわらず、一対一の場面をどのように記録し、事後に確認できるようにするかを、あらかじめルールとして決めておくことが大切です。

また、性犯罪歴の確認が間に合わないまま従事を始める場合の特例(いとま特例)が適用される従事者については、原則としてこどもと一対一にさせないことが求められます。やむを得ず一対一になる場合には、外から内部の様子が確認できる教室や、防犯カメラ等が設置された個室を使うこと、あるいはリモートでの対応を検討することが示されています。

録画映像の運用ルールで決めておくべきこと

防犯カメラの運用ルールとは、誰が、どのような場合に、どの映像を見られるのか、そして映像をどのくらいの期間保存するのかを、関係者間であらかじめ合意しておく取り決めです。ガイドラインでは、個人のプライバシー、こどもへの心理的な影響、現場の萎縮、目的外利用の禁止といった観点に配慮しながら、関係者間で丁寧に議論し、運用ルールを合意しておくことが重要とされています。

ガイドラインで示されている工夫や留意点を整理すると、運用ルールには少なくとも次のような項目を盛り込んでおく必要があります。

  • 映像を確認する条件:性暴力の疑いが生じた場合など、事案が発生したときの検証に限って確認し、何もなければ映像は見ない
  • 操作できる人の限定:責任者や管理職以外がカメラや録画データを操作できないようにする
  • 利用範囲:映像は業務上必要な範囲に限って利用し、目的外の利用をしない
  • 複写・加工・共有:不必要な複写や加工を行わず、共有する範囲を適切に限定する
  • 私用端末の禁止:私用のスマートフォンなどで録画・録音を行わない
  • 録音の扱い:録画に加えて録音を行う場合は、よりプライバシーに配慮し、同意の取得などを丁寧に行う

保存期間については、注意が必要です。ガイドラインでは、何もなければ一定期間の後に映像を消去するルールを設けることを工夫の一例として挙げる一方で、性暴力は発覚までに一定の期間を要することが多いため、証拠保全の観点からは、管理に必要な負担も踏まえたうえで可能な限り長期間保存することが望ましいとしています。録画容量がいっぱいになると古い映像から自動的に上書きされる設定のままでは、後から被害が打ち明けられたときに、該当する期間の映像がすでに残っていないという事態も起こり得ます。

防犯カメラの映像のうち、特定の個人を識別できるものは個人情報に該当し、個人情報保護法に沿った管理が求められます。運用ルールは職員向けの内部規程にまとめるだけでなく、カメラを設置していることや、映像の利用目的を、こどもや保護者にも分かりやすく伝えておくことが大切です。

疑いが生じたときの映像の保全と閲覧記録

映像の保全とは、疑いが生じた際に、関係する録画データが上書きや削除で失われないよう確保し、改ざんされていないことを示せる状態で保管することです。ガイドラインでは、客観的な証拠を保全する際には、その証拠に接する人をできる限り限定し、誰がいつ証拠を管理・閲覧したかを記録しておくことが重要とされています。

実務上は、疑いが生じた時点で、該当する期間の映像を通常の録画データとは別に保存し、閲覧できる担当者を決めたうえで、閲覧日時と閲覧者を記録する手順をあらかじめ定めておくとよいでしょう。警察などの関係機関に映像を提供する場合に備えて、提供の判断を誰が行うのか、どのような形式で受け渡すのかも決めておくと、いざという時に慌てずに済みます。映像を証拠として扱う際の考え方は、防犯カメラ映像の証拠としての扱いを解説した記事でも詳しく紹介しています。

インターネットに接続するカメラを使う場合は、情報セキュリティ対策も欠かせません。ガイドラインでは、情報処理推進機構(IPA)が公表している「ネットワークカメラシステムにおける情報セキュリティ対策要件チェックリスト」を適宜参照するよう示されています。初期パスワードの変更やソフトウェアの更新など、基本的な対策が行われているかを導入時に確認しておきましょう。

クラウド録画で運用の負担を減らす

クラウド録画とは、カメラの映像を施設内のレコーダーではなく、インターネット上のストレージに保存する仕組みです。録画機器を施設ごとに保守する必要がなく、許可された担当者がブラウザから映像を確認できるため、複数の教室や拠点を運営する事業者でも、映像の管理を一か所に集約しやすくなります。

クラウド録画システムの「LiveOn RecX」は、レコーダーを設置せずにネットワークカメラの映像をクラウド上に録画できるサービスです。ONVIF規格に対応したネットワークカメラであれば既存のカメラを再利用でき、録画した映像は専用アプリを入れなくても、PC・スマートフォン・タブレットのブラウザから確認できます。必要な場面だけを切り出して保存できるため、疑いが生じた際に該当部分を通常の録画とは分けて保全するといった運用にも活用できます。通信はすべて暗号化されています。

学習塾やスポーツクラブのように、複数の教室や会場を少人数の管理者で運営している事業者では、教室ごとにレコーダーを置くと、保存期間の設定や機器の保守がばらばらになりがちです。クラウド上で映像をまとめて管理できれば、運用ルールを全拠点で統一しやすくなり、本部の責任者が必要なときに各教室の映像を確認するといった体制もつくりやすくなります。

ただし、どのシステムを選ぶ場合でも、ガイドラインが求める運用ルールを実際に守れるかどうかを確認することが重要です。閲覧できるアカウントを責任者に限定できるか、閲覧や書き出しの記録をどのように残すか、必要な期間だけ映像を保存できるプランがあるかといった点は、導入前に提供事業者へ具体的に確認しておきましょう。

導入前に確認しておきたいチェックリスト

こども性暴力防止法の施行に向けて防犯カメラの設置や見直しを進める際は、次のようなポイントをあらかじめ確認しておくと、導入後の運用がスムーズになります。

  • 職員やこどもの意見も踏まえて、死角や一対一になりやすい場所を洗い出しているか
  • トイレや更衣室などは、室内を映さず入退室のみを記録する配置になっているか
  • 映像を確認する条件、操作できる人、共有範囲を運用ルールとして文書化しているか
  • 発覚までに時間がかかることを踏まえた保存期間を設定しているか
  • 疑いが生じた際の映像の保全手順と、閲覧記録の残し方を決めているか
  • 設置の目的や運用ルールを、職員・こども・保護者に説明しているか
  • ネットワークカメラの初期パスワード変更など、基本的なセキュリティ対策を行っているか

防犯カメラは、設置して終わりではありません。服務規律の整備や研修、巡回、相談しやすい環境づくりといった他の措置と組み合わせてはじめて効果を発揮します。施行後も、実際の運用で困った点や新たに見つかった死角などを定期的に振り返り、ルールと設置場所を見直していくことが大切です。

よくある質問

こども性暴力防止法で、防犯カメラの設置は義務になるの?

防犯カメラの設置そのものは、一律の義務とはされていません。こども家庭庁のガイドラインでは、防犯カメラ等の活用は性暴力の未然防止に「有効」とされ、巡回や鍵の管理などと並ぶ防犯対策の一つと位置づけられています。事業の性質やこどもの発達段階などに応じて、設置・運用のあり方を検討することが望ましいとされています。

学習塾やスポーツクラブも防犯カメラの対策が必要?

学習塾やスポーツクラブなどの民間事業者は、国の認定を受けた場合に、学校や保育所と同様の安全確保措置を講じることになります。認定を受けるかどうかは任意ですが、認定を受ける場合は、施設環境の整備を含む措置への対応が求められます。防犯カメラの活用は、その環境整備の有効な手段の一つです。

防犯カメラの映像はどのくらいの期間保存すればいい?

ガイドラインでは具体的な日数は示されていません。性暴力は発覚までに時間がかかることが多いため、証拠保全の観点からは、管理の負担も踏まえたうえで、できる限り長く保存することが望ましいとされています。録画機器の容量やクラウドのプランを確認し、自施設で無理なく運用できる保存期間を決めておきましょう。

トイレや更衣室にカメラを付けてもいいの?

トイレや更衣室の内部は、プライバシー保護の観点から撮影が難しい場所です。ガイドラインでは、こうした閉鎖的な空間については入口にカメラを設置し、室内が映らないようにして入退室だけを記録する方法が示されています。

まとめ

2026年12月25日に施行されるこども性暴力防止法では、性犯罪歴の確認に加えて、すべての従事者を対象とした性暴力の未然防止のための環境づくりが求められます。防犯カメラは、その有効な手段の一つとして、ガイドラインで設置場所の考え方や運用上の留意点が具体的に示されています。

大切なのは、カメラを設置することそのものよりも、映像を確認する条件、操作できる人、保存期間、保全の手順といった運用ルールを関係者で合意し、こどもと職員の双方を守る仕組みとして運用することです。複数の教室や拠点の映像をまとめて管理したい場合は、LiveOn RecXのようなクラウド録画システムを活用することで、ルールを統一した運用がしやすくなります。施設の状況に合わせたカメラの構成や運用について、導入のご相談はお問い合わせ・資料請求ページから承っています。

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