登録受渡店舗とは?2027年5月施行の改正薬機法で変わる市販薬の遠隔販売

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投稿日:2026/10/30
更新日:2026/10/30
トレンド・お役立ち情報

近所のドラッグストアは夜になると登録販売者が不在になり、かぜ薬の棚にカバーがかかってしまう。離島や山間部では、そもそも一般用医薬品(市販薬)を買える店舗が近くにない――薬剤師や登録販売者が足りない地域では、こうした「買いたいときに買えない」状況が続いてきました。 2027年5月20日に施行される改正薬機法では、離れた場所にいる薬剤師や登録販売者が遠隔で管理することを条件に、資格者が常駐しない「登録受渡店舗」で一般用医薬品を受け渡せる仕組みが始まります。この記事では、厚生労働省の資料をもとに制度の仕組みと薬局側・店舗側に求められる体制を整理し、遠隔でのやり取りを支える通信設備をどう考えるかを紹介します。

登録受渡店舗とは

登録受渡店舗とは、薬局や店舗販売業者(ドラッグストアなど)の薬剤師・登録販売者による遠隔での管理の下で、一般用医薬品を保管し、購入者に受け渡すことができる店舗のことです。2025年5月に公布された改正薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律)によって新たに設けられ、2027年5月20日から制度が始まります。

ポイントは、登録受渡店舗が行うのはあくまで「受渡し」であり、「販売」ではないという点です。厚生労働省の改正法の概要資料では、販売は委託元の薬局や店舗販売業者が行い、販売に関する責任も原則として委託元が負うと整理されています。購入者への確認や情報提供は委託元の薬剤師・登録販売者がオンラインで行い、登録受渡店舗は委託を受けて医薬品を保管し、指示に従って手渡す役割を担います。

これまで、医薬品を扱う店舗には管理者として薬剤師や登録販売者を置くことが求められてきました。そのため、資格者を確保できない地域や時間帯には、一般用医薬品を販売すること自体ができませんでした。登録受渡店舗の制度は、限られた資格者が複数の店舗を遠隔で支えることで、医薬品へのアクセスを広げることを目指したものです。

改正薬機法の施行スケジュール

改正薬機法の施行スケジュールは、内容ごとに段階的に分かれています。一般用医薬品の販売に関わる主な改正は、2026年5月1日と2027年5月20日の2段階で施行されます。

2026年5月1日施行:販売区分と販売方法の見直し

2026年5月1日に施行されたのは、濫用のおそれのある医薬品の販売方法の見直しと、要指導医薬品に関する見直しです。若年者を中心とした市販薬の過剰摂取が社会問題になっていることを受けて、濫用のおそれのある医薬品については、若年者に対して適正な量に限って販売することなどが義務づけられました。また、要指導医薬品については、薬剤師の判断に基づき、ビデオ通話などによるオンライン服薬指導での情報提供だけで販売できるようになりました。ただし、対面での確認が適切とされる品目は、オンラインのみでの販売の対象から除かれています。

2027年5月20日施行:遠隔管理による受渡しと調剤の外部委託

2027年5月20日に施行されるのが、登録受渡店舗を活用した一般用医薬品の販売と、薬局の調剤業務の一部外部委託です。厚生労働省は2026年6月30日に、これらの詳しい運用ルールを定めた省令(令和8年厚生労働省令第110号)を公布し、同日付の通知で内容を都道府県などに周知しました。調剤業務の外部委託とは、一包化(複数の薬を飲むタイミングごとに1袋にまとめること)のような定型的な調剤業務の一部を、別の薬局に委託できるようにする仕組みです。

受渡委託による販売の流れ

受渡委託による販売とは、委託元の薬局・店舗が販売を行い、登録受渡店舗が受渡しだけを担う販売の形です。厚生労働省の概要資料と省令の内容をもとにすると、購入者が医薬品を受け取るまでの流れはおおむね次のようになります。

  • 委託元の薬局・店舗が、登録受渡業者と契約を結び、登録受渡店舗に一般用医薬品を貯蔵する
  • 購入者が、自分のスマートフォンや登録受渡店舗の店頭端末などを通じて、委託元の薬剤師・登録販売者とオンラインでやり取りする
  • 委託元の薬剤師・登録販売者が、購入者の症状や使用状況を確認し、必要な情報を提供したうえで販売する
  • 委託元から登録受渡店舗に受渡しを指示し、店舗の従事者(または受渡し用の機械設備)から購入者に医薬品を渡す
  • 登録受渡店舗が受渡しの記録を作成し、委託元の受渡管理者に報告する

このように、販売の判断と説明は委託元の資格者が担い、店舗は「保管」と「手渡し」と「記録・報告」を担うという役割分担になっています。購入者から見れば、店頭で画面越しに薬剤師や登録販売者に相談し、その場で薬を受け取れる形です。

薬局・店舗販売業者側に求められる体制

受渡委託をする薬局・店舗販売業者には、登録受渡店舗を遠隔で確実に管理するための体制づくりが求められます。2026年6月30日付の厚生労働省の通知では、次のような要件が示されています。

受渡管理者の配置

受渡管理者とは、委託元の薬局・店舗で、登録受渡店舗における受渡しの管理を統括する責任者です。第一類医薬品を受渡委託で販売する場合は原則として薬剤師、第二類・第三類医薬品の場合は薬剤師または一定の実務経験などがある登録販売者が受渡管理者になります。受渡管理者は、登録受渡店舗の責任者に手順書に沿って業務を行うよう指示し、業務の記録を文書で報告させ、業務が適正に行われているかを確認・記録する役割を担います。

2種類の手順書の作成

受渡委託をする薬局開設者・店舗販売業者は、委託元で行う業務のための「受渡委託販売等業務手順書」と、登録受渡店舗で行う業務のための「受渡業務手順書」の2種類を作成し、両方の拠点に備え付けなければなりません。手順書には、受渡しの実施方法や医薬品の管理方法だけでなく、手順からの逸脱が生じた場合や、健康被害を防ぐために連絡が必要な場合に、誰が誰にどう報告・相談するかも定めておく必要があります。

記録の作成と保存

委託元では、登録受渡店舗に医薬品を貯蔵したときや受渡しを指示したときに、品名・数量・日時を薬剤師または登録販売者に確認させて書面に記載し、登録受渡店舗からの受渡しの報告とあわせて2年間保存することが求められます。また、受渡管理者が業務の改善の必要性を認めて登録受渡業者に措置を指示した場合は、その指示の文書と、措置が講じられたことを確認した記録を3年間保存します。遠隔での管理であるからこそ、指示と報告をすべて記録に残すことが前提になっているといえます。

同一都道府県内の制限と店舗数の検証

制度の開始当初、委託元の薬局・店舗と登録受渡店舗は同一の都道府県内にあることが条件とされています。厚生労働省は、制度導入後に課題を検証したうえで、より広い範囲での連携を検討するとしています。また、2つ以上の登録受渡業者に委託する場合は、管理できる店舗数を検証し、その結果に基づいて手順書を作成することが求められます。ひとりの資格者が無制限に多くの店舗を受け持つことはできず、「実際に管理しきれる範囲か」を説明できることが必要になります。

登録受渡店舗側に求められる設備と体制

登録受渡店舗には、資格者が常駐しない代わりに、医薬品を安全に保管し、委託元とすぐに連絡が取れる設備と体制が求められます。通知で示されている構造設備の基準には、次のようなものがあります。

  • 登録受渡店舗であることが外観から明らかであること
  • 面積はおおむね6.6平方メートル以上とし、受渡しを行う場所は60ルックス以上の明るさがあること
  • 医薬品の貯蔵設備は鍵のかかるものとし、受渡しを行わない時間には受渡しの場所を閉鎖できる構造であること
  • 医薬品を陳列する場合は、鍵をかけた陳列設備など、購入者が直接手を触れられない設備に陳列すること
  • 購入者や医薬品を使用する人が、委託元の薬局・店舗と連絡を取るための設備があること
  • 登録受渡店舗自体が、委託元の薬局・店舗と連絡を取るための設備があること

体制面では、受渡しを行う時間内は、常に登録受渡店舗責任者か、責任者が指定した従事者が店舗に勤務していることが求められます。つまり、「資格者はいないが、無人でもない」というのが登録受渡店舗の基本の姿です。購入者から相談があった場合や、手順からの逸脱が生じた場合に、委託元の受渡管理者へ連絡できる体制も必要です。ロッカーのように機械の操作だけで受渡しを行う設備を使う場合は、動作不良にすぐ対処できる従事者がいることも条件になっています。

遠隔でのやり取りを支える通信設備の考え方

登録受渡店舗の制度で欠かせないのが、委託元と購入者、委託元と店舗をつなぐ通信設備です。通知では、受渡委託をする薬局・店舗の構造設備の基準として、登録受渡業者との間の通信手段、購入者との間で販売時の確認や情報提供を適切に行うための通信手段、登録受渡店舗の医薬品を遠隔で管理するための設備を備えることが求められています。

通知の中で特定の機器やサービスが指定されているわけではありませんが、実際に運用する場面を想像すると、通信設備に求められる条件が見えてきます。

購入者が迷わず相談できること

購入者が迷わず相談できることとは、店頭の端末で、誰でも少ない操作で資格者を呼び出せることです。一般用医薬品を求めて来店するのは、体調が悪い人や高齢の人であることも少なくありません。アプリのインストールやログインが必要な仕組みでは、使いこなせない人が出てしまいます。資格者が対応中のときに待ち状況が分かるかどうかも、店頭での使いやすさを左右します。

症状や商品を映像で確認できること

症状や商品を映像で確認できることとは、資格者が画面越しに購入者の様子や、手元の商品のパッケージ、お薬手帳などをはっきり見られることです。服用中の薬との飲み合わせを確認したり、購入しようとしている商品が症状に合っているかを判断したりするには、音声だけでなく映像や資料の共有が役立ちます。聞き取りにくい薬の名前などを文字で伝えられる機能があると、説明の正確さも高まります。

複数の店舗からの呼び出しに対応できること

複数の店舗からの呼び出しに対応できることとは、委託元の資格者が、複数の登録受渡店舗からの相談を取りこぼさずに受けられることです。相談が重なったときに別の資格者へ転送したり、第一類医薬品の相談を薬剤師につないだりする運用も考えられます。管理できる店舗数を検証する際にも、呼び出しの件数や対応時間を把握できる仕組みがあると、説明の根拠を示しやすくなります。

遠隔窓口システムという選択肢

遠隔窓口システムとは、店頭などに設置した端末と、離れた場所にいる担当者をビデオ通話でつなぎ、窓口対応を行うためのシステムです。国産の遠隔窓口システム「LiveOn Call」は、相談者が画面のメニューをタップするだけで担当者を呼び出せ、つながった後の操作は対応者側で完結します。対応中で受け付けられない場合は待ち人数が表示され、自動的に予約される仕組みもあります。資料や画像を双方の画面に表示して書き込めるホワイトボード機能や、文字でやり取りできるテキストボックス、やり取りの録音録画、他の担当者への転送、複数拠点での通話にも対応しています。クラウド版のほか、閉域網内にサーバーを構築できるオンプレミス版も用意されています。

なお、どのシステムを使う場合でも、それによって省令の要件を満たせるかどうかは、手順書の内容や運用体制とあわせて判断されます。具体的な運用方法は、許可や登録を行う都道府県などの薬務担当部署に事前に確認しておくことをおすすめします。遠隔相談システムを比較する際の観点については、オンライン窓口・遠隔相談システムの選び方を解説した記事も参考にしてください。

導入前に検討しておきたいポイント

登録受渡店舗の活用を検討する際は、施行日までに、制度上の要件と現場の運用を一つずつすり合わせておくことが大切です。薬局・ドラッグストアと、受渡しを担う店舗の運営事業者が一緒に確認しておきたいポイントを挙げます。

  • どの地域・どの時間帯の医薬品へのアクセスを改善したいのか、目的が明確になっているか
  • 受渡管理者を誰が担い、第一類医薬品を扱う場合に薬剤師を確保できるか
  • ひとりの資格者が対応できる店舗数や相談件数を、実際の来店数から見積もっているか
  • 2種類の手順書に、逸脱時や健康被害のおそれがある場合の連絡手順まで書き込めているか
  • 貯蔵・受渡しの指示・受渡しの報告を、確実に記録・保存できる仕組みがあるか
  • 店頭の端末が、高齢の人や体調の悪い人でも迷わず使えるものになっているか
  • 通信が途切れた場合に、受渡しを止めるなどの対応手順を決めているか
  • 店舗の従事者向けの研修を、委託元と受託側のどちらがどのように実施するか決めているか

厚生労働省の資料でも、登録受渡店舗の制度は、医療安全の確保を前提に薬剤師などの人材を有効に活用するためのものと位置づけられています。単に「資格者がいなくても売れるようになる」と捉えるのではなく、遠隔で管理する体制を整えた事業者だけが活用できる仕組みだと理解しておくことが重要です。

よくある質問

登録受渡店舗はいつから始まるの?

2027年5月20日から始まります。根拠となる改正薬機法は2025年5月21日に公布され、詳しい運用ルールを定めた省令が2026年6月30日に公布されました。登録受渡店舗として受渡しを行うには、委託元の薬局・店舗販売業者と、受託側の登録受渡業者の双方が、施行後に所定の手続きを行う必要があります。

コンビニでも市販薬を受け取れるようになるの?

登録受渡店舗としての基準を満たし、登録を受ければ、薬局やドラッグストア以外の店舗でも一般用医薬品の受渡しを行えるようになります。ただし、鍵のかかる貯蔵設備や受渡しの場所の確保、受渡し時間中の従事者の常駐、委託元との連絡体制などの要件があり、制度開始当初は委託元と同じ都道府県内の店舗に限られます。どの店舗で受け取れるようになるかは、事業者ごとの取り組み次第です。

店員さんが薬の説明をしてくれるの?

登録受渡店舗の従事者が行うのは医薬品の保管と受渡しで、販売の判断や薬の説明は、委託元の薬剤師または登録販売者がオンラインで行います。症状に合う薬か、ほかの薬との飲み合わせに問題がないかといった相談は、店頭の端末や自分のスマートフォンを通じて資格者に行う形になります。

店舗が無人でも受渡しはできるの?

受渡しを行う時間内は、登録受渡店舗責任者か、責任者が指定した従事者が常に勤務している必要があるため、完全な無人店舗での受渡しは想定されていません。機械の操作だけで受渡しを行う設備を使う場合も、動作不良にすぐ対処できる従事者がいることが条件になっています。

どんな市販薬でも受け取れるの?

制度の対象は一般用医薬品で、第一類医薬品を受渡委託で販売する場合は、原則として薬剤師が受渡管理者になる必要があります。要指導医薬品は一般用医薬品とは別の区分で、2026年5月1日からオンライン服薬指導による販売の仕組みが別に設けられています。実際にどの医薬品を受渡しの対象とするかは、委託元の薬局・店舗が手順書や体制に応じて判断します。

まとめ

2027年5月20日に施行される改正薬機法により、薬剤師や登録販売者が遠隔で管理することを条件に、資格者が常駐しない登録受渡店舗で一般用医薬品を受け渡せるようになります。販売と説明は委託元の資格者が担い、店舗は保管・受渡し・記録を担うという役割分担のもとで、受渡管理者の配置、2種類の手順書、記録の保存、同一都道府県内での連携といった要件を満たすことが求められます。

制度を活かせるかどうかは、離れた場所にいる資格者と購入者、そして店舗の従事者が、どれだけ確実にやり取りできるかにかかっています。相談者がタップするだけで担当者を呼び出せる遠隔窓口システムのLiveOn Callのような仕組みを活用すれば、店頭での相談から記録までを一つの流れで支える体制づくりにつながります。施行に向けた構成や運用についてのご相談は、お問い合わせ・資料請求ページから承っています。

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