育成就労制度が2027年4月に開始、外国人材の現場教育をどう整えるか

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投稿日:2026/10/05
更新日:2026/10/05
業種別活用シーン・導入事例

日本語での説明を一生懸命聞いてくれているものの、本当に伝わっているのか分からない。ベテラン社員が手取り足取り教えようにも、毎日つきっきりになる余裕はない――外国人材を受け入れている現場で、こうした悩みを抱えている担当者は少なくありません。 2027年4月には、技能実習制度に代わる新たな制度として「育成就労制度」が始まります。名前のとおり、受け入れ企業には「育成」の質がこれまで以上に問われるようになります。この記事では、育成就労制度のポイントを整理したうえで、言葉の壁を越えて現場の技能を伝えるための教育の仕組みづくりと、映像を活用した遠隔指導という選択肢を紹介します。

育成就労制度とは?2027年4月に始まる新しい受入れ制度

育成就労制度とは、人手不足分野において、外国人が日本での3年間の就労を通じて「特定技能1号」水準の技能を身につけ、その分野の担い手として育つことを目的とした在留制度です。2024年6月21日に改正法が公布され、2025年10月1日に公布された政令により、施行日は2027年(令和9年)4月1日と定められました。

これまでの技能実習制度は、1993年の創設以来、「技能移転による国際貢献」を目的として運用されてきました。しかし実際には人手不足を補う役割を担っている実態との乖離や、実習生の権利保護の課題が指摘され続けてきました。育成就労制度は、こうした課題を受けて技能実習制度を抜本的に見直し、目的そのものを「人材の育成・確保」へと改めた制度です。

技能実習制度との主な違い

育成就労制度と技能実習制度の違いは、目的だけでなく、受け入れ企業の義務や外国人本人の権利にも及びます。出入国在留管理庁の資料をもとに、主な変更点を整理すると次のとおりです。

  • 目的:「国際貢献」から「人手不足分野における人材の育成・確保」へ変わる
  • 育成就労計画の認定制:外国人ごとに、育成期間(3年以内)や育成の目標(業務・技能・日本語能力など)を記載した計画を作成し、外国人育成就労機構の認定を受ける
  • 監理支援機関の許可制:従来の監理団体に代わる「監理支援機関」は許可制となり、許可基準も厳格化される
  • 本人意向による転籍:一定の要件を満たせば、外国人本人の希望で受け入れ先を変えることが認められる
  • 受入れ見込数の設定:分野ごとに、生産性向上や国内人材確保を行ってもなお不足する人数をもとに受入れの上限数が設定される

なかでも現場の担当者にとって影響が大きいのが、育成の目標を計画として明文化し、その達成度が試験によって測られるようになる点と、本人意向の転籍が認められる点です。この2つは、受け入れ企業の「育てる力」が、これまで以上にはっきりと問われることを意味しています。

育成就労で求められる技能と日本語の水準

育成就労制度で求められる水準とは、3年間の育成期間を通じて、技能と日本語能力の両面で段階的にクリアしていく試験の基準のことです。出入国在留管理庁の資料では、おおむね次のような段階が示されています。

  • 就労開始まで:日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験のN5等)に合格、またはそれに相当する日本語講習を受講
  • 本人意向の転籍をする場合:技能検定基礎級等と、分野ごとに設定された水準の日本語試験への合格が条件
  • 特定技能1号へ移行する場合:技能検定3級や特定技能1号評価試験と、日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験のN4等)への合格が必要

本人意向の転籍については、同じ受け入れ先で一定期間働いていることも条件となり、その期間は分野ごとに1年から2年の範囲で設定される方向で検討が進められてきました。自社の分野がどう扱われるかは、分野別運用方針などの最新情報で確認しておく必要があります。

ここで重要なのは、3年間で特定技能1号の水準まで育てることが制度の前提になっている点です。技能試験に合格できる実力を、日本語が十分ではない段階から身につけてもらう必要があるため、「見て覚えて」「背中を見て学んで」という従来型のOJTだけでは、育成計画どおりに進めることが難しくなります。

外国人材の現場教育が難しい4つの理由

外国人材の現場教育が難しい理由は、本人の能力の問題ではなく、言葉・教える側の体制・拠点の分散・定着という4つの構造的な課題にあります。厚生労働省の発表によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人で、届出が義務化された2007年以降で過去最多を更新しました。このうち技能実習は49万9,394人にのぼり、育成就労制度への移行は多くの現場に関わるテーマです。

言葉の壁:日本語試験の水準と現場の言葉は別物

日本語能力試験のN5やN4は、日常的な基本表現を理解できる水準とされています。しかし現場では、「面取り」「養生」「清拭」といった業界特有の専門用語や、「もうちょい右」「そこ、気をつけて」といった曖昧な指示が飛び交います。試験に合格していても、口頭の説明だけで作業の手順やコツを正確に伝えるのは簡単ではありません。

教える側の負担:OJTが特定のベテランに集中する

外国人材の指導は、説明に時間がかかるうえ、理解度の確認も丁寧に行う必要があります。その負担が、教え方の上手な一部のベテラン社員に集中しがちです。指導担当者が休んだり退職したりすると育成が止まってしまうという、属人化の問題も起こりやすくなります。

拠点の分散:指導者や通訳が全現場に付き添えない

建設現場や複数の工場、介護事業所など、外国人材が働く場所が複数に分かれている企業では、母国語を話せるスタッフや経験豊富な指導者を、すべての現場に配置することは現実的ではありません。困ったときにすぐ相談できる相手がいないことは、作業ミスや事故だけでなく、本人の孤立感にもつながります。

定着の課題:育成環境が「選ばれる理由」になる

育成就労制度では、一定の要件のもとで本人意向の転籍が認められます。これは、きちんと育ててもらえる職場、成長を実感できる職場が選ばれ、そうでない職場からは人材が流出しうるということです。教育体制の整備は、法令対応だけでなく、人材を定着させるための競争力そのものになります。

言葉の壁を越える「見せて教える」現場教育の考え方

「見せて教える」現場教育とは、口頭の説明に頼るのではなく、手本となる作業そのものを映像で見せることで、言語の理解度に左右されずに技能を伝える教育の方法です。外国人材の育成で効果を上げている現場では、次の3つの考え方を組み合わせているケースが多く見られます。

ベテランの手本を「作業者の目線」で映像に残す

固定カメラや第三者が撮影した映像では、手元の細かい動きや、作業者がどこを見て判断しているのかが分かりにくいことがあります。ベテランが胸元や頭部にカメラを装着して作業すると、実際に作業する人と同じ目線の映像が残せるため、外国人材は「自分が作業するときにどう見えるか」をそのまま確認できます。繰り返し再生できるので、理解できるまで何度でも見返せる点も、言葉に不安がある人にとって大きな安心材料です。

離れた場所から指導者や母国語スタッフが参加する

外国人材がカメラを装着して作業すれば、本社や別拠点にいる指導者が、その映像を見ながらリアルタイムで助言できます。母国語を話せるスタッフや監理支援機関の担当者が遠隔で同じ映像を見ながら補足すれば、ひとりの通訳者が複数の現場を支えることも可能です。「分からないことがあればすぐにつないで聞ける」状態は、作業の安全性を高めるだけでなく、心理的な支えにもなります。

録画を振り返り、育成計画の進捗確認に活かす

作業の様子を録画しておけば、指導者と外国人材が一緒に映像を見返しながら、「ここは良くできている」「この工程は順番が逆になっている」と具体的にフィードバックできます。育成就労計画では技能の目標を定めることになるため、映像で成長の過程を記録しておくことは、目標に対する進み具合を確認したり、技能検定に向けた練習の振り返りをしたりする材料にもなります。

ウェアラブルカメラを使った遠隔指導の具体像

ウェアラブルカメラを使った遠隔指導とは、現場の作業者が身につけたカメラの映像と音声を離れた場所の指導者と共有し、双方向で会話しながら作業を支援する仕組みです。「LiveOn Wearable」は、現場から送られてくる映像や音声を確認しながら作業者とリアルタイムにコミュニケーションできる遠隔作業支援システムで、映像を切り取った画像に書き込みをして指示を送るスナップショット機能や、資料共有機能を備えています。また「LiveOn Nano」は約80gの超小型ウェアラブルカメラで、LTE通信に対応し、クラウド録画と同時にカメラ本体にも映像を保存できるため、通信環境が安定しない現場でも作業の記録を残しやすい設計です。

業種ごとに、次のような活用が考えられます。

  • 製造業:ベテランの段取り替えや検査工程を作業者目線で録画して手順動画にし、新しく配属された外国人材が作業前に繰り返し視聴する
  • 建設業:外国人材が装着したカメラの映像を事務所の職長が確認し、指差しや画像への書き込みで「どこを」「どうする」を明確に指示する
  • 介護:移乗介助などの手本を、利用者の同意を得たうえでベテラン職員の目線で記録し、研修教材として活用する
  • 農業・食品製造:繁忙期に複数の圃場や工場に分散する外国人材を、母国語を話せる本社スタッフが遠隔で巡回サポートする

画像への書き込みや指差しで伝える方法は、「あれ」「それ」のような曖昧な言葉に頼らずに済むため、日本語がまだ十分でない段階の外国人材とのやり取りに特に向いています。言葉で説明しきれない部分を映像と図で補う、という発想で使うのがポイントです。

導入時に押さえておきたい注意点

映像を使った現場教育を導入する際の注意点は、技術的な準備よりも、撮影に関するルールと本人への説明にあります。特に外国人材の場合、日本の職場の慣習に不慣れなことも多いため、次のような点を事前に整理しておくと安心です。

  • 撮影の目的を母国語や「やさしい日本語」で説明する:監視や評価のためではなく、教育と安全のために使うことを明確に伝え、同意を得る
  • 撮影範囲と保存ルールを決める:休憩中や更衣室など撮影しない場面を定め、映像の保存期間とアクセスできる人を限定する
  • 第三者が映り込む場面への配慮:介護の利用者や顧客、取引先が映る可能性がある現場では、事前に同意を得るか、撮影範囲を工夫する
  • 手順動画は「やさしい日本語」の字幕や図解とセットにする:映像だけで伝わりにくい安全上の注意点は、短い文と図で補う
  • 通信環境を事前に確認する:山間部や建屋の奥など電波が届きにくい場所では、録画を本体に残す運用や、事前のテストで対応を決めておく

また、映像はあくまで指導を補う道具であり、人による声かけやフォローを置き換えるものではありません。遠隔でつながる仕組みがあることで、むしろ指導者が「見守っている」ことを伝えやすくなる、という位置づけで導入すると、現場の理解も得やすくなります。

よくある質問

育成就労制度っていつから始まるんですか

2027年4月1日に施行されます。施行日を定める政令は2025年10月1日に公布されており、関係する省令の整備や分野別の運用方針の策定など、施行に向けた準備が段階的に進められています。

今いる技能実習生はどうなりますか

施行日より前から技能実習を行っている人については、経過措置により、一定の範囲で引き続き技能実習を続けることができます。具体的な取り扱いは在留状況によって異なるため、出入国在留管理庁の資料や監理団体に確認することをおすすめします。

翻訳機能がないと外国人スタッフへの遠隔指導は難しいですか

必ずしもそうではありません。作業の映像を見せる、画像に印を付けて場所を示すといった方法は、言葉に頼らずに意図を伝えられるため、翻訳機能がなくても効果があります。必要に応じて、母国語を話せるスタッフが遠隔で同じ映像を見ながら補足する運用を組み合わせると、より確実に伝えられます。

外国人スタッフにカメラを付けてもらうのはプライバシー的に問題ないですか

業務上の目的を明確にし、本人に十分説明して同意を得たうえで、撮影範囲や保存期間のルールを決めて運用することが大切です。説明は日本語だけでなく、母国語の資料や「やさしい日本語」を使って、内容をきちんと理解してもらえるよう配慮しましょう。

制度が始まる前に、今から準備しておくべきことは何ですか

まずは、現在の指導方法が特定のベテランに頼り切っていないかを点検し、育成の目標と手順を言語化・映像化しておくことから始めるのがおすすめです。育成就労計画では業務・技能・日本語能力の目標を定める必要があるため、教育内容を整理しておけば、計画づくりもスムーズに進められます。

まとめ

2027年4月に始まる育成就労制度では、3年間で特定技能1号の水準まで外国人材を育てることが前提となり、育成計画の作成や本人意向の転籍など、受け入れ企業の「育てる力」がこれまで以上に問われます。言葉の壁や指導者不足、拠点の分散といった課題を乗り越えるには、口頭の説明だけに頼らず、手本を映像で見せ、離れた場所からでも支えられる仕組みを整えておくことが有効です。LiveOn WearableやLiveOn Nanoのようなウェアラブルカメラを活用すれば、ベテランの技能を作業者目線の映像で残し、必要なときに遠隔から指導や母国語でのサポートを届けられます。制度開始まで残された時間を使って、自社の育成体制を見直してみてはいかがでしょうか。現場での活用方法や導入のご相談は、お問い合わせ・資料請求ページから承っています。

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