介護事業所のカスハラ対策義務化(2026年10月)で今すぐ準備すべきこと

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投稿日:2026/08/05
更新日:2026/08/05
業種別活用シーン・導入事例

2026年10月1日から、労働施策総合推進法の改正により、規模や種別を問わずすべての介護事業所にカスタマーハラスメント(カスハラ)防止措置が法的に義務付けられます。「そのうち対応すればいい」と考えていると、施行までの準備期間はあっという間に過ぎてしまいます。 本記事では、義務化の根拠や背景、事業所として具体的に取り組むべき対応、訪問介護特有の注意点を整理したうえで、現場での「記録」を確実に残す仕組みづくりの重要性と、その実現手段としてウェアラブルカメラを活用する方法を紹介します。準備の進め方が分からず後回しにしてしまっている担当者の方は、ぜひチェックリストとあわせて参考にしてください。

2026年10月、介護事業所のカスハラ対策が義務化されます

義務化の根拠となる法改正

2026年10月1日に施行される改正労働施策総合推進法により、「顧客等の言動に起因する問題」への雇用管理上の措置を講じることが、全業種の事業主に義務付けられます。介護業界においても、この労働法の枠組みに加えて、介護報酬・運営基準上の対応が求められる方向で検討が進んでいます。これまで各事業所の自主的な取り組みに委ねられていたカスハラ対策が、法的な義務へと格上げされる大きな転換点です。

対象となる事業所の範囲

対象となるのは、規模や種別を問わずすべての介護事業所です。訪問介護、通所介護、施設サービスなど提供形態にかかわらず、2026年度以降は共通の対策が必須化される方向とされており、運営規程などへの位置付けも検討されています。「うちは小規模だから対象外」といった猶予は基本的にないと考え、早めの準備が必要です。

対策強化の契機になった事件

この動きが一気に加速した背景には、埼玉県川口市で起きたケアマネジャー殺害事件があるとされています。利用者・家族対応の現場で職員の命に関わる事態が実際に起きたことで、行政と介護事業所の双方が対策の重要性を強く認識し、制度整備が急ピッチで進められる契機になりました。

なぜ今、介護現場のカスハラ対策が急務なのか

深刻な被害の実態

厚生労働省の調査では、サービス種別によって利用者から被害を受けた経験のある職員が4〜7割、家族から被害を受けた経験のある職員が1〜3割にのぼるとされています。暴言や過度な要求だけでなく、身体的暴力やセクシュアルハラスメントに発展するケースもあり、精神的負担から離職を選ぶ職員も少なくありません。ただでさえ人手不足が深刻な介護業界にとって、カスハラによる離職は事業継続そのものを脅かすリスクになっています。また、こうした被害は「利用者に悪気はない」「このくらいは仕方ない」と職員が自分を納得させて表面化しないまま埋もれてしまうことも多く、実際の発生件数は統計以上に多いのではないかとも指摘されています。

訪問介護は特にリスクが高い

訪問介護は、職員が利用者宅で一対一の対応を迫られやすいという特有の環境にあります。密室的な状況では、大声で怒鳴られる、人格を否定される、契約にない掃除や買い物を強く求められるといった行為が起きやすく、周囲に助けを求めることも難しいのが実情です。こうした構造的なリスクの高さから、訪問介護事業所には特に体系的な対応が急がれています。

カスハラの具体的な行為類型

対策を検討する前提として、まずどのような行為が該当するのかを事業所内で共有しておくことが重要です。代表的な類型は次のとおりです。

  • 身体的暴力:叩く、物を投げつける、つかみかかるなどの行為
  • 精神的暴力:大声で怒鳴る、人格を否定するような発言を繰り返す
  • セクシュアルハラスメント:不必要な身体接触や性的な発言
  • 契約範囲を超えた要求:介護保険制度や契約で定められた範囲を明らかに超えるサービスの強要
  • 威圧的な拘束・監視:長時間その場に留まらせる、行動を過度に制限しようとする

義務化で事業所に求められる対応

労働施策総合推進法に基づく厚生労働省の指針では、事業主に求められる措置として、方針の明確化・周知啓発、相談体制の整備、事後の適切な対応、悪質な行為への抑止措置、プライバシー保護・不利益取扱いの禁止という柱が示されています。介護事業所においては、これを次のような対応に落とし込んで進めるとよいでしょう。

  • 対応方針の明確化:「カスハラを許さない」という事業所の姿勢を、職員だけでなく利用者・家族にも周知する
  • 相談体制の整備:内部・外部の相談窓口を設置し、相談した職員の秘密保持と不利益な取り扱いの禁止を明記する
  • 職員研修の実施:カスハラの判断基準や、発生時の初期対応方法を全職員で共有する
  • 運営規程・重要事項説明書への記載:禁止事項、相談窓口、サービス制限の条件などを明文化する
  • 抑止措置:悪質な言動に対しては、書面での警告やサービス提供の一部制限、必要に応じた警察・弁護士への相談など、毅然とした対応を取る
  • 発生時の事後対応と記録:被害を受けた職員へのケアと、再発防止策の検討・記録を行う

これらはいずれも「その場しのぎ」では対応できず、事業所として仕組み化しておく必要があります。特に方針の明確化や運営規程への記載は書面での対応が中心になりますが、相談体制や記録の仕組みは、実際に運用が回るかどうかまで踏み込んで設計しないと、いざという時に機能しません。特に「記録」は、他の対応を実効性のあるものにするための土台になるため、早期から準備しておく価値があります。

訪問介護特有の注意点

一対一になりやすい環境のリスク

施設内であれば他の職員の目がありますが、訪問介護では利用者宅という密室的な環境で一対一の対応になりがちです。そのため、何かあった際に「言った・言わない」の水掛け論になりやすく、被害を受けた職員側が孤立してしまう構造的な問題を抱えています。

複数人対応・担当変更などの運用面の工夫

リスクが高いと判断されるケースでは、同じ職員を継続して配置することを避けたり、複数人での訪問や管理者の同行を検討したりといった運用上の工夫が有効です。担当者の変更を柔軟に行える体制を整えておくことも、職員を守るうえで重要な対策の一つになります。

利用者・家族への事前説明の重要性

対策を効果的に機能させるためには、利用者やその家族に対しても、事業所としてカスハラを許さない方針であることや、必要に応じて記録を行う場合があることを事前に丁寧に説明しておくことが欠かせません。重要事項説明書などを通じて理解を得ておくことで、後になってトラブルになるリスクを抑えられます。

「記録」を確実に残す仕組みづくりが鍵になる

義務化された対応のうち、相談体制や事後対応を実効性あるものにするためには、暴言や違和感といった「小さな火種」の段階から記録を残しておくことが欠かせません。記録があれば、事実確認や再発防止策の検討がスムーズになるだけでなく、行政への報告や利用者家族への説明責任を果たすうえでも、客観的な証拠として大きな意味を持ちます。記録を残すという行為自体が、不当な言動への抑止力としても働きます。

記録に求められる要件

口頭やメモだけの記録では、内容の正確性や客観性に限界があります。特に訪問先という環境では、通信が不安定な場所でも記録が失われない仕組みであることや、後から改ざんが疑われない形で保存できることが重要です。音声だけでなく映像による記録があれば、事実関係をより正確に、かつ第三者にも分かりやすい形で残すことができます。

誰が確認できるかも決めておく

記録を残す仕組みを整えるだけでなく、その記録に「誰が」「どのような場合に」アクセスできるのかをあらかじめ決めておくことも重要です。閲覧できる担当者を限定し、目的外の利用を防ぐルールを運営規程などに盛り込んでおくことで、職員・利用者双方にとって安心できる運用につながります。

現場での記録・遠隔支援を実現する具体的な手段

こうした記録の要件を満たす手段として広がっているのが、介助業務中でも装着できる小型のウェアラブルカメラです。両手がふさがる介護業務の特性上、スマートフォンでの録画は現実的ではなく、ハンズフリーで映像を記録・共有できるデバイスが求められています。あわせて、現場の映像を本部や先輩職員とリアルタイムに共有できれば、訪問中に一人で判断を迫られる場面でも遠隔から助言を受けられ、記録と相談体制の両方を同時に強化できます。

具体例に見るウェアラブルカメラの機能 ―「LiveOn Nano」

「LiveOn Nano」は、介護・介助の現場向けに開発されたカメラ付きインカムデバイスです。本体重量は約80gと世界最小クラスで、デュアルカメラを搭載しながらも装着時の負担を抑えています。IP66の防水・防塵性能を備え、バッテリーは5時間以上駆動するため、長時間の訪問業務でも運用しやすい設計です。

特に注目したいのが、クラウドと本体の128GB SDカードの両方に同時保存される「ダブル録画」機能です。訪問先で電波状況が不安定な場合でも本体に記録が残るため、義務化で求められる「確実な記録」という要件に応えやすくなっています。FHD・30fpsの映像をリアルタイム配信できる機能もあわせて活用すれば、記録と遠隔からの相談・応援要請を一台で両立できます。

ウェアラブルカメラは記録以外の場面でも役立つ

カスハラ対策のための記録という目的だけでなく、ウェアラブルカメラは日々の介護業務そのものを支える手段としても活用できます。導入コストを一つの目的だけに限定せず、次のような場面もあわせて検討すると、投資対効果を高めやすくなります。

  • 夜間見守り:少人数体制の夜勤でも、遠隔から状況を確認し必要な時にすぐ応援を呼べる
  • リハビリ指導:専門職が映像を見ながら、遠隔から的確なアドバイスを行える
  • 新人教育・OJT:ベテラン職員が遠隔から映像を確認しながら、新人の対応をその場でフォローする
  • 多職種連携:ケアマネジャーや医療職など複数の専門職が同じ映像を見ながら支援方針をすり合わせる
  • 事故発生時の初動対応:転倒や急変時の状況を映像で共有し、救急要請や応急処置の判断を遠隔からサポートする

義務化に向けた準備の進め方

施行日から逆算して慌てて対応するのではなく、次のような順序で段階的に準備を進めると、無理なく体制を整えやすくなります。

  • 現状把握:自事業所で過去に発生したカスハラ事例や、現在の対応状況を洗い出す
  • 方針策定:カスハラに対する事業所としての基本方針を決定し、文書化する
  • 運営規程・重要事項説明書の改定:禁止事項や相談窓口、サービス制限の条件を反映する
  • 研修の実施:判断基準や初期対応、記録の取り方について全職員に周知する
  • 記録体制の整備:訪問先でも確実に記録を残せる仕組み・ツールを導入し、運用を定着させる

自事業所だけで判断が難しい場合は、社会保険労務士や介護保険関連の専門家、業界団体が提供するガイドラインなど、外部の知見を活用することも有効です。特に運営規程の改定や研修プログラムの整備は、他事業所の取り組みを参考にすることで効率的に進められます。

よくある質問

小規模な事業所も対象になりますか

はい。今回の義務化は事業所の規模や種別を問わず、すべての介護事業所が対象とされています。従業員数が少ないことを理由に対応を先送りできるものではないため、早めの準備が推奨されます。

対応しなかった場合、罰則はありますか

措置義務そのものに直接の刑事罰はありません。ただし、厚生労働大臣による報告徴求や助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合は事業所名が公表される可能性があります。また、必要な措置を怠ったことが原因で職員に被害が生じた場合は、安全配慮義務違反として損害賠償を請求されるリスクも指摘されています。

映像記録には利用者の同意が必要ですか

録画・録音を伴う記録を行う場合は、事前に目的や運用方法を説明し、利用者・家族の理解を得ておくことが望ましいとされています。重要事項説明書などに記載し、同意を得たうえで運用するケースが一般的です。

訪問介護以外のサービスでも対応は必要ですか

はい。今回の義務化は訪問介護に限らず、通所介護や施設サービスなど、介護保険サービス全般が対象です。一対一になりやすい訪問介護は特にリスクが高いとされていますが、施設内であっても利用者・家族対応の場面でカスハラは起こり得るため、サービス形態を問わず準備が必要です。

義務化対応チェックリスト

2026年10月の施行に向けて、まずは次の項目から準備状況を確認してみましょう。

  • 事業所としてのカスハラ対応方針を明文化し、職員・利用者・家族に周知しているか
  • 秘密保持と不利益取扱い禁止を明記した相談窓口を設置しているか
  • 全職員がカスハラの判断基準と初期対応方法を理解する研修を実施しているか
  • 運営規程・重要事項説明書に禁止事項やサービス制限の条件を記載しているか
  • 悪質な行為に対して、警告やサービス制限など毅然とした対応を取れる基準を決めているか
  • 訪問先など一対一になりやすい場面で、確実に記録を残せる仕組みがあるか
  • リスクが高いケースで、複数人対応や担当変更を柔軟に行える体制があるか

まとめ

2026年10月の義務化まで、決して時間に余裕があるわけではありません。方針の明確化や相談体制の整備、運営規程の改定といった制度面の準備とあわせて、訪問先など一対一になりやすい現場で確実に記録を残せる仕組みづくりも早めに検討しておく必要があります。本記事で紹介した「LiveOn Nano」のような、ハンズフリーで使えるウェアラブルカメラは、その具体的な選択肢の一つです。

書面上のルール整備だけで終わらせず、実際の現場できちんと運用できるかどうかまで見据えて準備を進めることが、義務化への対応を形だけのものにしないための分かれ目になります。まずは自事業所の現状をチェックリストで確認し、足りない部分から優先的に準備を進めていきましょう。

制度対応と現場での実効性の両方を押さえることが、職員を守り、利用者・家族との信頼関係を保ちながら、事業所として安心してサービスを提供し続けるための土台になります。

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著者情報 著者情報:ジャパンメディアシステム ジャパンメディアシステム

ジャパンメディアシステムは、企業のコミュニケーションを支えるビジュアルコミュニケーションシステム「LiveOn」を提供し、場所や時間に縛られない働き方の実現を目指しています。

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