ウェアラブルカメラとは、身体や機材に取りつけて、ハンズフリーで映像を撮影・共有できるカメラのことです。近年では個人利用だけでなく、現場作業の遠隔支援や管理者による状況確認といった業務用途にも活用が広がっています。
本記事では業務用途にフォーカスを当てて、ウェアラブルカメラの具体的な使用例や、選ぶ際に押さえておきたいポイントなどを解説します。自社に合った一台を見つけるために、ぜひ最後までご覧ください。
ウェアラブルカメラとは、「wearable(着用できる)」という言葉が示すように、身に着けて使用できる小型カメラのことです。頭部や胸部、腕などに装着することで、作業や移動をしながらでも写真や動画を撮影できます。
また、多くのウェアラブルカメラは防水・防塵・耐衝撃・手ブレ補正などの機能を備えており、動きの多い作業環境や屋外でも鮮明な映像を残すことが可能です。こうした特性から、主に建設現場での作業記録や遠隔支援のツールとして活用されています。
ウェアラブルカメラの活用が広がっている背景には、建設現場における安全対策の強化や、人手不足に伴う技術継承の重要性の高まりがあります。
また、国土交通省が掲げる「i-Construction」により、建設現場全体の生産性向上を目指す取り組みが進められていることも、注目を集める理由の一つです。
こうした背景のもと、現場状況の正確な記録や、遠隔での技術指導などに役立つウェアラブルカメラの活用が広まっています。
参照元:国土交通省「i-Construction」
https://www.mlit.go.jp/tec/i-construction/
ウェアラブルカメラに似た特徴のカメラに、「アクションカメラ」というものがあります。
両者は、いずれも身体や機材に装着して撮影できる小型カメラで、その違いに明確な定義はなく、用途や使用シーンによって呼び分けられているようです。
ウェアラブルカメラは、建設現場や工事現場などの業務用で使用するカメラとして認識されています。一方、アクションカメラはスポーツやアウトドアなど、激しい動きを伴う環境での撮影を想定した製品として扱われることが一般的です。
ウェアラブルカメラは、さまざまな業務用途で使用されています。ここでは、一例として建設現場で使用するメリットを紹介します。
ウェアラブルカメラを使用するメリット
ウェアラブルカメラを使用するメリットとしてまず挙げられるのは、両手が自由に使える点です。ヘルメットや胸ポケットに装着可能なため、撮影しながらでも作業に集中できます。
作業の邪魔にならないだけでなく、映像を確認する側にとっても、現場の状況を臨場感のある映像で把握できるので、より正確な状況判断が可能となります。
ライブ映像通話機能を備えたウェアラブルカメラであれば、現場の状況を把握しながら即時に指示を出すことが可能です。
たとえば現場の従業員がウェアラブルカメラを装着することで、離れたところにいる熟練の技術者は、その映像をもとに適切な作業手順や注意点を指示できます。現場と遠隔地とのあいだで円滑に情報共有できるため、迅速かつ的確なサポートにつながります。
定点カメラでは捉えきれない範囲まで映像として記録できる点も、ウェアラブルカメラを使用するメリットの一つです。
これにより、管理者は現場の状況の細部まで把握できるため、具体的な指示を出せるようになります。
ウェアラブルカメラを活用すれば、管理者が現場へ移動する時間を大幅に削減できます。これまで、現地での対応に割いていた時間をほかの作業に充てられるため、業務効率の向上につながります。
また、遠隔から現場の状況を把握しながら指示を出せるので、複数の現場の進捗や作業状況をまとめて管理することも可能です。
ここからは、ウェアラブルカメラの主な使用シーンを見ていきましょう。建設業界に限らず、さまざまな分野での活用例を紹介します。
ウェアラブルカメラの主な使用シーン
ウェアラブルカメラの代表的な使用シーンは、建設現場での「遠隔臨場」です。
遠隔臨場とは、建設現場において、ウェアラブルカメラやIPカメラなどを使用し、離れた場所からリアルタイムで「段階確認」「材料確認」「立会」を行う仕組みのことです。国土交通省が推進する取り組みであり、安全性の向上や移動時間の削減、人手不足の解消を目的としています。
このようにウェアラブルカメラは、遠隔臨場をはじめとした用途で、建設現場での活用が広がっています。
参照元:国土交通省「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領(案)」
https://www.mlit.go.jp/tec/content/001594449.pdf
ウェアラブルカメラは、人材育成の場面でも有効に活用されています。
たとえば警備業界なら、経験の浅い従業員に現場業務を教える際、指導者がその場にいなくても、カメラを通じてリアルタイムに状況を確認しながら指導を行えます。
直感的に操作できる機種であれば、幅広い年代の従業員でも扱いやすいため、事前の操作説明にかかる手間も抑えられるでしょう。その結果、教育に要する時間の短縮にもつながり、効率的に人材を育成できます。
製造業では、工場の機械の動作確認や、作業状況を把握する手段としてウェアラブルカメラが使用されています。
管理者は、工場にいなくても映像を通じて稼働状況を確認できるため、万が一機械に異常が発生した場合でも迅速な対応が可能です。くわえて、実際の作業の流れをリアルに把握できることで、業務プロセスや安全面での課題が見えやすくなり、現場全体の作業効率の向上にもつながります。
ウェアラブルカメラの使用シーンの一つとして、カスタマーハラスメント対策も挙げられます。カスタマーハラスメントとは、顧客から従業員やサービス提供者に対して、過度な要求や不適切な言動などの迷惑行為が行われることを指します。
こうした問題への対策としてウェアラブルカメラを装着すれば、万が一被害が発生しても記録映像を証拠として活用できるため、事実関係の把握や従業員の保護に役立つでしょう。また、カメラの装着自体がトラブルの抑止効果を持つともいわれています。
ウェアラブルカメラは、災害発生時における迅速な情報共有の手段としても有効です。
たとえば、遠隔地の工事現場で地震や豪雨などの自然災害が発生したと想定します。こうした場合でも、ウェアラブルカメラを使用していれば、映像を通じて即座に状況を把握し、適切な指示を出すことが可能です。安全確保の判断やトラブルへの対応が円滑になり、全体として危機管理体制の強化につながります。
ここまでご覧いただいたように、ウェアラブルカメラは建設業をはじめとするさまざまな業界で幅広く活用されています。そのため導入にあたっては、用途に適した機能や性能を事前に確認しておくことが重要です。
ここからは、ウェアラブルカメラを選ぶ際にチェックしたい8つのポイントを解説します。
ウェアラブルカメラを選ぶ際に確認したいポイント
ウェアラブルカメラを選ぶ際にまずチェックしたいのが、画質です。用途に適していない画質のものを選ぶと、撮影しても細かい部分がぼやけてしまう可能性があります。
映像の鮮明さを左右する要素は、「解像度」「フレームレート」「センサーサイズ」の3つです。解像度については、近年4K対応が主流となっており、多くの機種で高精細な映像を記録できます。動きの多い作業環境で撮影する場合は、映像を滑らかに残せる60fps以上のフレームレートを選ぶとよいでしょう。また、夜間や屋内での撮影がメインであれば、より多くの光を取り込める大きめのセンサーを搭載した機種が適しています。
どの程度の範囲を映せるかを示す画角は、現場状況の把握のしやすさに関わる要素です。作業箇所だけでなく、周囲の状況まで確認したい場合は、画角の広い機種を選ぶことをおすすめします。
遠隔での業務対応にウェアラブルカメラを活用したい場合は、ライブ映像通話機能の有無を事前に確認しておくことが重要です。
ただし、リアルタイム配信に対応している機種であっても、接続方法が複雑だったり、通信環境によっては遅延が発生したりする場合があります。そのため、実際の運用を想定し、スムーズに利用できるかどうかもあわせてチェックしておきましょう。
手ブレ補正機能は、補正性能や処理方式などが機種・メーカーによって異なるため、使用シーンに適したものを選ぶことが大切です。たとえば建設現場のように、作業や移動を伴う撮影が多い環境では、より優れた手ブレ補正機能が求められます。
雨天時や水回りでの使用を想定する場合は、防水機能の有無を事前に把握しておくことが大切です。また、砂やホコリが多い環境で使用するのであれば、防塵機能の有無もあわせてチェックしておきましょう。
なお、防水・防塵性能は、製品の取扱説明書や仕様書などに記載されているIPコードから確認できます。
タッチパネルが搭載されているかどうかも、ウェアラブルカメラを選ぶ際に確認しておきたいポイントの一つです。
業務中は素早い判断とスムーズな操作を求められる場面が多く、物理ボタンのみでは対応しきれないケースも少なくありません。その点、タッチパネルであれば、直感的に操作できるため、状況に応じた迅速な対応がしやすくなります。
タッチパネル搭載の機種を選ぶ際は、操作性だけでなく画面の見やすさにも注目しましょう。屋外では日差しが反射して視認性が低下することもあるため、明るく見やすいディスプレイを備えた機種がおすすめです。
対応アクセサリーが充実しているウェアラブルカメラを選べば、シーンに応じた柔軟な撮影が可能になります。
アクセサリーの具体例としては、ヘルメットマウントやチェストマウント、延長ロッドなどが挙げられます。こうした周辺アイテムを活用できるかどうかで、撮影の自由度が大きく変わるでしょう。特に業務用途では、使用するヘルメットの形状や規格に適合した専用マウントがあるかどうかが、選定の決め手になることもあります。
ウェアラブルカメラは、搭載されている機能によって価格帯に大きな幅があります。一般的に高価格帯の機種ほど多くの機能が備わっていますが、必ずしもすべてのケースでハイスペックな機種が必要になるとは限りません。
まずは「画質」「手ブレ補正機能」「防水・防塵機能」など、自社の用途において特に重視すべきポイントを明確にするとよいでしょう。そのうえで、条件を満たす範囲のなかから予算に合った機種を選ぶことが重要です。
ウェアラブルカメラを選んだら、目的に応じた専用ソフトウェアも検討しましょう。ウェアラブルカメラの選択が上手くいっても標準搭載のツールが使いにくいと、せっかく高性能の製品を選んでも現場で使いこなせないケースもめずらしくありません。たとえば遠隔臨場や遠隔支援など、オンラインコミュニケーションで活用したい場合は専用のコミュニケーションツールを活用することをおすすめします。よくあるWeb会議ツールでは操作が複雑で難しく現場では中々定着しないようです。たとえば、「電源を入れるだけで操作は不要」「パソコン側から遠隔でコントロールが出来る」「自動録画に対応」しているなど、本当に現場で使う人が使いこなせるかどうかも重視したソフトウェアの準備も重要です。
ウェアラブルカメラは、身体や機材に装着し、ハンズフリーで撮影できる小型カメラとして、さまざまな分野で活用が広がっています。特に建設現場をはじめとする業務用途では、遠隔臨場や安全管理、技術指導など、多様なシーンで役立てられています。
ウェアラブルカメラを導入する際は、ライブ映像通話機能や手ブレ補正機能などの有無を確認して、自社の目的や使用環境に適した機種を選びましょう。
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