Web会議とテレビ会議は、どちらもビジネスシーンにおいてコミュニケーション手段です。
しかし、それぞれ仕様が異なるため、効果的に運用するには両者の違いをきちんと理解しておくことが重要です。
そこで本記事では、Web会議とテレビ会議を比較したうえで、選定するポイントを解説します。
なお、本記事では一般的に利用されることの多い、クラウド型のWeb会議サービスとオンプレミス型のテレビ会議を中心に比較します。
Web会議とテレビ会議は、どちらも離れた場所にいる相手と映像や音声を用いてコミュニケーションを取る会議のシステムです。
一見すると同じ意味にも見えますが、実はこれら2つの会議システムには、さまざまな違いがあるのです。
適切に比較するためにも、まずは両者の違いを以下の9つに分けて解説します。
Web会議とテレビ会議を比較する9つのポイント
Web会議は、参加者が各自のPCもしくはスマートフォンなどの機器を使用し、インターネットを通じて行う会議のことです。
一方、テレビ会議は、自社内の特定の場所に設置したサーバーをはじめとする専用機器と、モニターやスピーカーなどの周辺機器を使ってつなぐ会議のことです。
従業員が持つ各自の端末から参加できるWeb会議は、定例のミーティングや、研修などで利用されるのが一般的です。
全国に複数の拠点がある企業であっても、参加者を特定の場所に集めることなく、会議を行えます。
それに対し、テレビ会議は回線が途中で切れてしまっては困るような重要度の高い会議で利用されています。
専用機器を使用して通信するため、安定したクリアな映像・音声でやり取りすることが可能です。
したがって、重役が出席する会議や、離れた場所にある支社との会議を行いたい場合には、非常に適したシステムといえます。
Web会議は、通信環境が整ってさえいれば、自宅や外出先、移動中の車内でも利用できます。
一方、テレビ会議は、場所を選ばないWeb会議とは異なり、専用機器が設置された特定の場所でのみ利用可能です。
Web会議とテレビ会議は、費用にも違いがあります。
Web会議はクラウド型であるため、基本的に数千~数万円程度の月額を支払うことで利用でき、初期費用が抑えられます。
システムによっては、無料でも利用可能です。
対して、テレビ会議はオンプレミス型で、自社内に設置するサーバーやシステムの構築に数百万円もの初期費用がかかるケースもあります。
くわえて、システムの保守・点検にはランニングコストも必要なので、クラウド型よりも費用がかかりやすいといえます。
Web会議は、インターネットを介してシステムを提供するベンダーのサーバーに接続して会議を行う方式です。
一方、テレビ会議は、特定の場所に設置された専用機器で回線に接続して、会議を行います。
Web会議とテレビ会議は、「コーデック」の種類が異なります。
コーデックとは、映像や音声などのデジタルデータを圧縮(エンコード)して送信し、受信先で復元(デコード)する技術のことです。
これにより、離れた場所にいても会議を行えるわけです。
Web会議システムでは、デジタルデータをソフトウェア上で処理するソフトウェアコーデックが使用されます。
それに対してテレビ会議では、設置された専用機器の集積回路で処理するハードウェアコーデックを使用します。
Web会議は、PCやタブレット、スマートフォンなどの端末を使用することで参加・開催できるため、端末さえあれば特別な機材は不要です。
必要に応じて、ヘッドセットを用意するとよいでしょう。
一方、テレビ会議は、モニターやスピーカー、マイクなどの機器を、会議を行う拠点数の分だけ導入する必要があります。
クラウド型のWeb会議を利用している場合、システムの保守やメンテナンスは、サービスを提供しているベンダーが行います。
オンプレミス型のテレビ会議の場合は、専用機器を自社に設置する特性上、定期的なメンテナンスが必要となります。
クラウド型のWeb会議は、ベンダーと契約すれば、短期間で導入可能です。
一方、オンプレミス型のテレビ会議は、機器の選定や準備、設定などが必要となるため、利用開始までに時間がかかります。
導入する際は、利用できるようになるまでの期間も含めて、入念に計画を立てておくことが重要です。
Web会議とテレビ会議を比較するポイントを押さえたところで、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
まずは、Web会議のメリット・デメリットを解説します。
Web会議には、以下のようなメリットがあります。
Web会議のメリット
Web会議は、導入の手軽さに強みを持ちます。
基本的にはベンダーが提供するシステムを使用するため、PCやタブレット、スマートフォンなどの端末と、インターネット環境さえあれば簡単に導入できます。
費用対効果が高い点も、Web会議が持つメリットの一つです。
Web会議ができる「Zoom」「Microsoft Teams」「Google Meet」といった代表的なアプリは、機能に制約はあるものの、ダウンロードと会員登録を済ませば無料で使えます。
小規模な会議や日常的なチームミーティングであれば、無料版でも十分に対応できるでしょう。
有料版へ移行する場合も、新たな機器を購入する必要がないため、テレビ会議よりも比較的低コストで導入できます。
先述したようにWeb会議は、PCやタブレット、スマートフォンなどの端末と、インターネット環境さえあれば、どこからでも参加できます。
そのため、「外出中や移動中に会議へ参加しなければならない……」というケースにも、柔軟に対応可能です。
特に従業員が頻繁に外出する企業や、全国に複数の拠点を持つ企業、リモートワークを推進している企業で、利便性を発揮するといえます。
Web会議は、手軽さや利便性に強みを持つ一方で、以下のようなデメリットも存在します。
Web会議のデメリット
Web会議はインターネット回線を介して行うため、環境によっては通信トラブルが起こる可能性があります。
接続に不具合が生じれば、音声や映像が遅延したり、途切れたりすることもあります。
映像・音声が通信環境に大きく左右されるので、重要な会議や商談で使用するのには向いていないといえるでしょう。
インターネットを経由するという特性上、Web会議はセキュリティ対策を入念に行わなければなりません。
パスワード保護や二段階認証、暗号化機能を活用することで対策可能ですが、これらが十分に行われていなければ、不正アクセスや情報漏えいのリスクを伴うこととなります。
セキュリティの脆弱性が懸念されるため、使用時には細心の注意が必要です。
Web会議システムの無料版は、利用できる人数に制限が設けられていることがあります。
制限の範囲を超えた人数で会議を行うには、適宜有料版へ切り替えなければならないため、場合によっては運用上のデメリットとなりえるでしょう。
Web会議に続いて、テレビ会議のメリットとデメリットも見ていきましょう。
テレビ会議には、以下のようなメリットが挙げられます。
テレビ会議のメリット
自社専用のネットワークを使用するテレビ会議は、音声・映像の品質が高いため、対面での会議に近い感覚でコミュニケーションを取ることができます。
相手の表情や、細かなニュアンスを読み取りやすいので、重要な会議や商談を遠隔で行いたいときにも有用です。
接続が安定している点もテレビ会議の強みです。
専用のネットワークを使用することから、インターネットを経由するWeb会議よりも回線切れの心配が少なく、長時間に及ぶ会議も円滑に進められます。
テレビ会議は社内ネットワークを使用するため、インターネットを介して行うWeb会議よりも、不正アクセスや情報漏えいのリスクを抑えられます。
重要な決定を行う場合や、機密情報を扱う場合でも、安心して会議を行えるでしょう。
官公庁や医療機関などの機密性が求められる場所で使用されていることから、セキュリティに対する信頼性は高いといえます。
高品質な映像・音質と高い安全性に強みを持つテレビ会議ですが、以下のようなデメリットがある点にも注意しておかなければなりません。
テレビ会議のデメリット
テレビ会議を行うには専用の機器が必要なため、Web会議と同様の手軽さでは導入できません。
映像・音声の品質や、安全性を確保するには、サーバーをはじめとする専用機器のほか、モニターやスピーカーなどの周辺機器も整備する必要があります。
このように、手間やコストがかかる点がテレビ会議のデメリットといえます。
前述したように、テレビ会議にはモニターやスピーカー、マイクなどの周辺機器が必要なため、導入時はこれらの設置場所を確保するのが先決です。
設置後に場所を変更するのは非常に手間がかかるため、テレビ会議専用の会議室を設けるといった対応が必要なため、前もって決めておくとよいでしょう。
テレビ会議は、モニターやスピーカーなどの周辺機器が設置されている特定の場所から利用するのが基本となります。
社外で会議に参加することができないため、Web会議ほど柔軟性には長けていません。
以下は、ここまで解説してきたWeb会議とテレビ会議の特徴を整理した表です。
Web会議とテレビ会議の比較表
| Web会議 | テレビ会議 | |
|---|---|---|
| 会議形態 | 参加者各自がPC・タブレットなどの端末を用いて会議を行う | 特定の場所に専用機器を設置して会議を行う |
| 利用シーン | 小規模な会議や定例ミーティングなど | 重要な会議や商談など |
| 利用可能場所 | インターネット環境がある場所 | 専用機器が設置された特定の場所 |
| 費用 | 無料で使えるものがあるほか、既存の機器で使用できる場合が多いため、導入コストを抑えやすい | 専用機器の設置とともに、ネットワーク環境を整備する場合もあるため、導入コストがかかりやすい |
| 接続方式 | インターネットを介してシステムを提供するベンダーのサーバーに接続する | 特定の場所に設置された専用機器で回線に接続する |
| コーデックの種類 | ソフトウェアコーデック | ハードウェアコーデック |
| 必要機材 | PCやタブレット、スマートフォンなどの端末 | モニターやスピーカー、マイクなどの専用機器 |
| メンテナンスの必要性 | 原則として必要なし | 専用機器のメンテナンスが必要 |
| サービス開始までの期間 | 登録あるいは契約直後から利用可能 | 専用機器の設置後から利用可能 |
Web会議とテレビ会議のどちらを導入するかお悩みの場合は、これらを参考に判断するとよいでしょう。
Web会議とテレビ会議の特徴やメリット・デメリットを比較してきましたが、「どのように選べばいいかわからない……」という事業者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
本項では、この両者を選び分けるポイントを解説します。
テレビ会議とWeb会議を選び分けるポイント
まずはWeb会議とテレビ会議の導入にかかるコストと、期待できる効果をきちんと分析しましょう。
Web会議は、既存の機器を利用できることから初期費用を抑えやすく、契約すればすぐに利用できます。
定例の会議や、簡単な打ち合わせにも適しているほか、インターネット環境さえあれば場所を選ばず利用できるので、利便性にも長けています。
システム導入を迅速に進めたい企業や、小規模なチームで利用したい企業の場合は、Web会議が適しているかもしれません。
テレビ会議は、専用の機器を設置しなければならないので、Web会議に比べ初期費用が高くなりやすい傾向があります。
とはいえ、回線が途切れる心配が少ないため、重要な会議や商談も、対面時と同じような感覚で進められるでしょう。
したがって、複数の支社を持つ企業や、安定したコミュニケーションを重視する企業は、テレビ会議を導入するのがよいといえます。
Web会議とテレビ会議のどちらかを選ぶ際は、機能やセキュリティの面から考えることも重要です。
先述したように、Web会議はインターネット環境さえあれば、場所を問わず、どこからでも会議を開催したり、参加したりすることが可能です。
また、多くのシステムには、チャットや画面共有、画面録画などの機能が搭載されているため、高い利便性を誇ります。
しかし、セキュリティの観点ではインターネットを介する特性上、不正アクセスや情報漏えいのリスクが伴うといわれています。
導入を検討する際は、適切なセキュリティ対策が施されているかを確認しましょう。
一方、テレビ会議は、専用機器や社内ネットワークを使用するので、映像・音声の品質や通信の安定性を確保しやすい点が強みです。
また、社内ネットワークを利用することで、外部からの不正アクセスや情報漏えいのリスクを抑えやすくなります。
利用環境や自社の事業規模をもとに検討することも、Web会議やテレビ会議を選ぶ際の重要なポイントです。
たとえば、リモートワークを推進している企業や、外出する従業員が多い企業は、社内にいなくても手軽にコミュニケーションが取れるWeb会議システムが適しています。
一方、支社との会議を頻繁に行う企業や、グループ同士の連携を強めたい企業には、通信の品質とセキュリティの強固さで優れるテレビ会議が適しているでしょう。
場合によっては、Web会議・テレビ会議の2つを導入して使い分けるのも有効です。
自社の状況に応じて、より高い効果を得られる方法を検討することが重要です。
利用開始後のサポート体制も、導入を検討する際に押さえておきたいポイントです。
クラウド型Web会議のトラブルは、オンライン上で解決できるケースが多いといわれています。
さらにベンダーの公式サイトには、ヘルプセンターやFAQなどが設けられているため、問題が生じた場合にも、自社内で対応できるようになっています。
一方、専用機器を用いるテレビ会議で発生したトラブルは、状況によっては専門的なサポートを受けなければなりません。
原因がわからないまま対応すると、さらなるトラブルを引き起こす可能性もあるので、ベンダーやメーカーに依頼するのが基本となります。
テレビ会議の機器を選定する際は、サポート体制が整っているベンダーやメーカーを選ぶことが大切です。
Web会議やテレビ会議を導入する際は、ここまで見てきたポイントを押さえたうえで、以下のような点にも注意することが大切です。
Web会議やテレビ会議を導入する際の注意点
まずは、Web会議やテレビ会議の導入目的を明確にしましょう。
利用する目的によって必要な機能が異なるので、判断を誤れば無駄なコストを支払うことになりかねません。
費用対効果を高めるためにも、各システムを正しく理解したうえで、自社に必要な機能をきちんと考慮することが重要です。
自社のネットワーク環境を確認することも、Web会議やテレビ会議の導入時に忘れてはならないポイントの一つです。
とりわけ、テレビ会議では安定したネットワーク環境が求められることから、通信速度が十分に足りているかどうかをチェックすることが不可欠です。
クリアな映像・音声で利用するためには、一般的に10Mbps以上の通信速度が推奨されています。
また、Web会議の場合でも、利用する人数や機能に応じて一定の通信速度を確保することが重要となります。
十分な通信速度で出ない場合は、既存のネットワークを再構築することも検討してみてください。
Web会議・テレビ会議の導入時には、必要な機器やソフトウェアをあらかじめ準備しておきましょう。
Web会議の場合は、特別な機器は必要ありませんが、PCやタブレット、スマートフォンなどに適切なアプリをインストールすることが求められます。
一方、テレビ会議の導入には、モニターやカメラ、マイクやスピーカーなどの専用機器を設置する必要があります。
設置に際して、オフィス内のレイアウトに変更が生じることもあるため、利用開始前から計画的に進めることが重要です。
Web会議やテレビ会議の導入にあたり、それらの適切な使い方を従業員にレクチャーすることも忘れてはなりません。
システムを社内で効果的に利用するためには、操作方法やトラブル発生時の対応を周知しておくことが重要です。
初めて扱うシステムに戸惑う従業員がいることを考慮し、簡単な操作ガイドや、トレーニングを用意すると、よりスムーズな導入につながります。
離れた場所にいる従業員とコミュニケーションが取れるWeb会議とテレビ会議は、会議形態や利用に適したシーン、接続方式などが異なります。
Web会議は、PCやタブレット、スマートフォンなどの端末とインターネット環境さえあれば、どこでも利用可能です。
一方、テレビ会議は、社内に専用機器を設置することで安定したネットワーク環境を構築し、高品質な映像・音声で会議を行えるという強みがあります。
導入する際は、こうした特徴をきちんと理解したうえで比較・検討し、導入目的や運用体制などを整理することが大切です。
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