NAT越え(NATトラバーサル – NAT traversal) とは

NAT越え(NATトラバーサル - NAT traversal) とは

NAT越え(NATトラバーサル – NAT traversal)とは、NAT機器を用いた上で、複数ホスト間のネットワーク接続を確立する際に生じる問題を解決するために設計されたアルゴリズムのこと。

NATとは、インターネットに接続された企業などで、一つのグローバルなIPアドレスとプライベートアドレスを相互に自動的に変換し、データを転送する技術のことで、NATを利用すれば少ないグローバルIPアドレスで、たくさんの端末をつないだLANを構築できます。

IPアドレス数に限りがあるIPv4を使う現状のインターネット接続では,NATは不可欠な技術となっています。
NATはグローバルIPアドレスを節約し、インターネットを利用中のLAN機器が直接インターネットに接続しているかのようにすべてのサービスを利用できる点がメリットです。
これは、Web閲覧など内部のコンピュータが外部のサーバに接続する形態が想定されており、通常、外部から内部のコンピュータにアクセスして通信を開始するような使い方はできません。外からでは社内の内線番号に直接電話できないのと同じことです。

この制約により、オンラインゲーム、通話(VoIP)ソフトやインスタントメッセンジャー、VPN、ファイル共有ソフト(P2Pソフト)などのグローバルIPアドレスを原則としてホスト間通信を行うアプリケーションがインターネット側からは相手側のNAT機器を用いたプライベートネットワークに属する端末や、ネットワークにダイレクトに到達できない、すなわちNATを通過できないといった問題があります。

この問題を解決し、これらのアプリケーションが通信できるようにする技術のことを「NAT越え」(NATトラバーサル – NAT traversal)といいます。

NAT越えの方法(技術)

NAT越えを行うための方法(技術)としては以下の方法(技術)が挙げられます。

  • UPnP(Universal Plug & Play)
    Microsoftなどが提唱した提唱した規格・方式で、情報機器をネットワークに接続することで、設定作業などを行うことなく他機器からの通信を可能にしたり、機能を利用できるようにしたりする規格のことです。主に家庭のネットワークをターゲットにしています。
  • STUN(Simple Traversal of UDP through NATs)
    NAT越えを処理するための方法の1つとして使われる標準化されたインターネットプロトコルであり、STUNプロトコルはエンドポイントがNATによって割り当てられた接続先のポートとIPアドレスを取得する方式です。
  • B2BUA(Back-To-Back User Agent)
    SIPで提供される機能の1つであり、B2BUAと呼ばれる専用プロキシをグローバルアドレス空間に用意することで、NAT経由で相手端末を呼び出したり呼び出されたりする際に、発呼側のIPアドレスやURL、その他ID情報などが伝わらないようにブロックするような場面で用いられます。
  • TURN(Traversal Using Relay NAT)
    IETFによって規定されている方式で、TURNサーバーをインターネット上のNATと端末の間に設置し、アドレスやポート番号の変換を実現させる方式です。
  • ICE(Interactive Connectivity Establishment)
    IETFによって規定されている方式で、 STUN、TURNを含むプロトコルを組み合わせ、SIPを使って接続する方式です。

関連用語

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